東日本電信電話(NTT東日本)およびNTT DX パートナーは8月31日、ブレインスリープとパートナーシップを結び、日本における睡眠課題解消に向けてスリープテック事業において新たなサービスを発表した。
NTT東日本 ソリューションアーキテクト部 佐々木翠氏は、「睡眠は生活インフラで、睡眠課題を解決することは、人々のくらしを豊かにするだけでなく、働くの人の生産性向上や疾病リスクの低減、地域社会の価値創造にもつながっていく。そこでNTT東日本グループは、最先端のテクノロジーを活かして、地域企業の健康経営の促進や睡眠市場の拡大と睡眠に悩む人の減少などを目指していく」と参入の理由を語った。
佐々木氏によれば、既存の睡眠市場は1.2兆円程度だが、潜在市場は3~5兆円あるという。
同社は、睡眠の質の向上を目的に睡眠市場に対する異業種からの参入を促進し、さらなる市場拡大に取り組むという。
「睡眠に関する課題は個人の問題ではなく、社会課題で企業や自治体も含めて考える課題だ。そのため、NTT東日本がリレーションがある企業や地域のみなさんと考えていきたい」(佐々木氏)
同社は、共創パートナーであるブレインスリープの西野精治氏が研究する睡眠医学とNTT東日本のテクノロジーを掛け合わせ、ソシューション展開を行い、睡眠課題の解消に取り組むという。
具体的には、共創コミュニティである「ZAKONE」の展開、睡眠市場参入のためのコンサルティング、企業や自治体向けの睡眠改善サービス、睡眠データプラットフォームの提供の4つのビジネスを展開する。
「ZAKONE」は、異業種からのスリープテック事業への参入を促し、共創を促進するためのコミュニティ。「ZAKONE」は、Sleep Network Hubとして、9月3日に正式にオープンする。ここでは、NTT DXパートナーが中心に運営し、参画企業間でのネットワーキング促進、共創プロジェクトの誘発のためのイベントやプログラムの開催、参画企業に対し、睡眠プロダクト先行体験機会の提供や正しい睡眠医学に基づく知識の啓蒙を実施する。現在、両者以外に12社の企業が参画を表明している。
睡眠市場参入のためのコンサルティングでは、新規事業開発組織や製品開発企業向けに、新規参入や効果検証のサポートなどを行う。
企業や自治体向けの睡眠改善サービスでは、福利厚生を担当している部門のQOL(クオリティ オブ ライフ)をサポートする。こちらでは、睡眠に関して認知し改善していくというプロセスをサポートする。
QOLの改善にむけては、ブレインスリープが提供する企業の健康経営支援サービス「睡眠偏差値for Biz」に加え、新たに睡眠計測アプリ・デバイス「ブレインスリープ コイン」を活用した客観的に従業員の睡眠の質を可視化するサービスの取り扱いを11月より開始。
「睡眠偏差値for Biz」では、25問の設問に答えていくことで、睡眠の質、睡眠障害リスク、日中の眠気、生産性、ストレスを測定する。
「ブレインスリープ コイン」は、ブレインスリープの提供する客観的に睡眠の質を計測可能なスマートフォンアプリおよび独自開発した睡眠計測デバイスで、睡眠スコア、睡眠サイクル、睡眠効率、入眠・起床時間、寝姿勢、寝床内温度、いびき・環境音などを測定できる。パジャマにつけて睡眠し、測定する。
そして、睡眠データプラットフォームでは、アプリ開発者や研究機関向けに睡眠データの分析基盤の提供や実装をサポートする。11月より、「睡眠偏差値for Biz」および「ブレインスリープ コイン」における各機能について、第三者システムやアプリケーションへの組み込みを目的としたアプリケーション・プログラミング・インターフェース(以下、API)およびソフトウェア開発キット(以下、SDK)の提供を開始するという。
NTT東日本ではこれらのビジネスを展開し、2025年までに10億円の売上を目標に活動していくという。