対応ログ評価と覆面調査で複合的に判断

さて、有人チャットの応対診断サービスにおいては、大きく2種類の診断が行われる。1つは「チャット分析」、もう1つは「ミステリーチャット」だ。

「チャット分析」で、実際に顧客対応を行ったチャットログを利用した分析が行われる。応対中の様子をそのまま見られるわけではないが、複数のログを確認することでコンタクトセンター全体がどのようなレベルなのか、オペレーター個々がどれだけのスキルを持っているのかなどを把握できるという。

「ミステリーチャット」は、いわゆる覆面調査だ。診断者が企業のお客様としてコンタクトセンターを利用するため、実際の対応中画面も確認した具体的な評価が行える。また、同じシナリオで他社と比較してどう違うのかも評価できる。

「片方だけのサービスを選択することも、両方のサービスを実施して複合的な診断を受けることもできます。お問い合わせいただく企業でも、片方だけ、両方とさまざまな需要があります」と水森氏は語った。

CXだけじゃない、EXも向上させる有人チャット応対診断

応対診断サービスというと、コールセンターの課題解決や顧客満足度向上のために行われるイメージがある。NTTネクシアのサービスでも当然そうした効果は得られるが、それだけが目的ではないという。

「お客様視点で評価を行う有人チャット応対診断サービスを利用いただければ、サービスを提供できることになりますから、まずオペレーターのEX(Employee Experience:従業員体験)の向上が見込めます。オペレーターの方に気持ちよく、楽しく仕事していただく、これが第一と考えています。EXの向上により、オペレーターの満足度が上がって、顧客対応もよくなり、CX(Customer Experience:顧客体験)も向上します。EXとCXの両方を上げたいと考えて提供しているサービスです」と、水森氏は語る。

有人チャットのオペレーターは、文字入力速度なども重視して選ばれた専門オペレーターの場合もあれば、電話応対をしてきたオペレーターが担当することもあるという。正解がない中、手探りで業務をこなしている現場オペレーターにとって、目指すべき姿が見えることは心強いだろう。また、指導方法や評価方法に悩むマネージャー層にとっても明確な指標ができることで、仕事のやりやすさは向上するはずだ。

「コンタクトセンターの対応は、そのまま企業の印象につながると言われるケースが多くあります。一般企業において消費者が直接コンタクトを取る機会はとても少なく、限られた機会の中でしっかり案内してもらえた、親切にしてもらえたという印象が残るからです。今までは電話がその役割を持っていましたが、有人チャットもここに当たります。ぜひ、その改善に貢献していきたいですね」と水森氏。

以前から多くの要望を受け、発表直後から問い合わせもあったという有人チャット応対診断サービス。利用例が増えれば、より評価軸が定まるとともに、業種ごとに重視すべき項目が明確になり、ブラッシュアップされるはずだ。

「有人チャット応対診断サービスはまだまだ完成形ではありません。これからもっとカスタマイズする予定です。自社を含めたさまざまな企業の調査をする中でよりよい有人チャットの在り方を考え、サービスに反映して提供していきたいと考えています」と、水森氏は力強く語っていた。