ソニーグループ(以下、ソニー)は7月4日から9月4日まで、全国の小中学生を対象に、プログラミング的思考で作られた作品を募集するコンテスト「大切な人のワクワクをつくるしかけコンテスト - プログラミング的思考で想いをかたちにしよう!」を開催中だ。
「小学校低学年部門」「小学校高学年部門」「中学生部門」の各部門から、最優秀賞を1組ずつ、審査員特別賞を全体で3組選出し計6組の入賞者が決まる。入賞者はソニーのプログラミングツールが授与されるほか、ソニー本社の見学や社員との交流の機会などが与えられる。謎解きクリエイターの松丸亮吾氏らが審査員を務める。
コンテストのテーマは「大切な人のワクワクを作るコンテスト」。プログラミング的思考に基づいて作成された、動きがあったり音が出たりする作品を募集し、家族など大切な人のために考えた自分ならではの仕掛けが評価対象になる。プログラムの組み方が工夫されているかどうかに加えて、発想や着眼点がユニークであり、大切な人をわくわくさせるための努力が見られるかが審査のポイントになるとのことだ。
プログラミング的思考の作品コンテスト開催につながる創業者の思い
ソニー(当時:東京通信工業)創業者の一人である井深大氏は、1946年に起草した『設立趣意書』の中で、同社創立の目的の一つに「国民科学知識の実際的啓蒙活動」と記した。同氏は科学技術を日本の再建や文化の向上のために使いたいとしており、科学技術の振興が不可欠だと考えていたようだ。
これを受けて、同社は1959年にソニー小学校理科教育振興資金を開始した。理科教員から募った論文に対して助成金を贈呈したり、同社製品を提供したりする取り組みだ。
こうした創業以来の理念に基づいて、同社が持つ製品や技術、コンテンツ、人材を活用した教育支援活動を続けてきたとしている。
ソニーが現在提供している教育プログラムの一つが、2020年から開始した「CurioStep with Sony(以下、キュリオステップ)」だ。従来型の理科教育から範囲を拡大して、いわゆるSTEAM教育(Science:科学、Technology:技術、Engineering:工学、Art:芸術、Mathematics:数学の頭文字を取ったもの)まで支援している。
社会の変化が目まぐるしい現代では、これまで以上に創造力や問題解決力が求められるようになっている。こうした中で、同社は子どもたちの好奇心や探求心を育むことを目的としてプログラムを開始したという。
キュリオステップの一環として開催中のイベントが「サマーチャレンジ2022」だ。現在参加者を募集している「大切な人のワクワクをつくるしかけコンテスト」はサマーチャレンジ2022の一つのイベントに位置付けられている。
サマーチャレンジ2022では、この他にも地球環境や生態系について学ぶトークセッション、PlayStation(R)を題材にゲーム作りを学ぶイベント、体験型の工作ワークショップなどを展開している。
ソニーでキュリオステップを含む社会貢献活動全般のマネジメントを担当する森悠介氏は「創造性や問題解決力が求められる現代だからこそ、当社はクリエイティビティとテクノロジーで子どもたちにワクワクする体験や学びの機会を届けたい。一人一人の好奇心を広げるサポートをしていきたい」とコメントしていた。
プログラミング的思考の作品作りを通じてソニーが子どもたちに伝えたいこととは
「大切な人のワクワクをつくるしかけコンテスト」の特徴は、ソニー製品のプログラミングツールの使用が必須ではない点だ。同社は「KOOV(R)(クーブ)」「toio(TM)(トイオ)」「MESH(TM)(メッシュ)」などさまざまなツールを手掛けるが、今回はこれらを使用した作品でなくても応募可能とのこと。なぜこのような開催方針となったのだろうか。
同社は昨年初開催したサマーチャレンジで、「おうち時間をもっと楽しくするしかけ」をテーマに、MESH(TM)の利用を条件とするプログラミングコンテストを実施したという。そこで集まった作品ではアイデアの豊かさや、自分のアイデアを形にする力、工夫が見られたとのことだ。
この経験により、プログラミングツールの使い方だけではなく、試行錯誤しながら自分のアイデアを形にする過程を大事にしてほしいとの思いを持ったことから、今年のコンテストでは同社のプログラミングツールの使用が必須の条件ではなくなったという。
これによって、昨年以上に多くの子どもたちに対して、自分のアイデアを形にする機会を提供できるようになると期待される。
さまざまなプログラミングツールの開発に携わるソニーだからこそ、ツールに頼らずともプログラミング的思考でアイデアを形にしていく過程の楽しさを伝えられるのかもしれない。
コンテストの企画運営を担当するソニーの山本理恵子氏は「プログラミング教育ではツールの使い方にばかり焦点が当てられるが、本当に大切なことはツールや技術を使うことではなく、アイデアを実現するためにどんな工夫をするのかということ。今回のコンテストでも、審査員を驚かせたり感動させたりするアイデアがたくさん集まれば」と期待を語った。
また、「プログラミングの良いところは、1回失敗しても何度でもやり直せるところ。うまくいかないからといって諦めるのではなく、試行錯誤の中から見つかることを大切にしてほしい」と、参加者にエールを送っていた。
なお、コンテストではアイデアをゼロから考えるのが難しい子どもに対して、考え方の道すじのヒントとして「アイデアシート」も提供している。
「大切な人のワクワクをつくるしかけコンテスト」
募集テーマ:プログラミング的思考で作られた「大切な人をワクワクさせるしかけ」
応募期間:2022年7月4日(月)から9月4日(日)まで
募集部門:「小学校低学年部門」「小学校高学年部門」「中学生部門」
参加条件:小学1年生から中学3年生までの個人または団体
結果発表:9月末ころに公式サイト上で発表
※詳細は公式サイトを要確認