アイリスオーヤマは7月19日、小売店舗の価値創造と課題解決を総合的に支援する「ストアソリューション事業」に新規参入することを発表した。同社はこれにより、法人事業の基盤強化および拡充を狙うとのことだ。
「ストアソリューション事業」では、実店舗に必要な器具や内装、LED照明、オフィス家具に加えて、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)機器、清掃ロボットなど、同社がこれまでに培ってきた事業領域における商材やサービスを活用して、店舗運営の課題解決と付加価値の創造を支援するとのことだ。
同社がストアソリューション事業として手掛けるのは、「省人化・省力化」「省エネ・脱炭素」「リアル店舗の価値創造」「新たなマーケティング手法の創出と共同研究」の4つの領域だ。
省人化・省力化においては、IoTセンサー技術を活用して店舗オペレーションの自動化を推進する。IoTセンサーなどの機器により店舗の記録作業を自動化して業務の効率化を進めるとともに、店舗スタッフの作業効率などを可視化して店舗運営マネジメントの変革まで支援する。
省エネ・脱炭素では、LED照明による節電効果に加えて、無線照明制御システム「LiCONEX(ライコネックス)」を活用して目的と時間に応じて照明を調整することで、柔軟な節電に寄与するとしている。
リアル店舗の価値創造ではプロジェクターやデジタルサイネージを用いた映像演出により、実店舗でしか得られない顧客体験や空間デザインなどの付加価値の提供を目指す。また、照明の色を自在にコントロールできる調色LED照明により季節や時間帯、店舗レイアウトに合わせて照明空間を調整し、より快適な購買環境を実現して来店客の購買行動に変化を与えるとのことだ。
新たなマーケティング手法の創出として、AI(Artificial Intelligence:人工知能)を搭載したカメラやIoTタグによって取得した来店客の属性とPOS(Point Of Sales:販売時点情報管理)データを組み合わせることで、店舗ごとの顧客特性や併買する可能性の高い商品の把握につなげる。また、購買に至るまでの経緯の可視化や、レイアウト変更や販売企画による購買行動の変化といった店舗運営のノウハウをデータとして蓄積できるようになるとしている。
さらに、複数の企業が参画する「チェーンストアAI分析研究会」を通じて、多くの企業が抱える課題の解決方法と新たなマーケティング手法を検証し、実店舗のさらなる価値創造にも寄与していくという。