京都工芸繊維大学(工繊大)は7月8日、3次元画像技術のホログラフィを応用した超高速イメージング技術に、独自開発した光学システムと2つの動画を空間的に分割して記録する手法を導入することで、1.78ピコ秒の時間間隔で発生した2つの超短パルス光が伝播する様子を、一度の露光でスローモーション動画として記録・観察することに成功したことを発表した。

同成果は、工繊大 電気電子工学系の粟辻安浩教授、同・大学 工芸科学研究科 電子システム工学専攻の井上智好大学院生らの研究チームによるもの。詳細は、米国光学会が刊行する光学およびフォトニクスに関する全般を扱う学術誌「Optics Letters」に掲載された。

一般的に超短パルスレーザーからは、数十kHz~数十MHzといった周期で多数の超短光パルスが出射されるが、こうした超短パルスレーザーを用いた多光子顕微鏡や材料微細加工では、対象である生細胞や材料に多数の超短光パルスが照射されるため、対象の状態が変化し、光パルスが伝播する様子が照射ごとに異なることが予想されるという。

また光通信の分野では、ナノ秒またはピコ秒の周期で光を変調する超高速光スイッチングデバイスが使用されており、そうしたデバイスの性能評価には、ナノ秒またはピコ秒の時間間隔で変調され、伝搬する超短光パルスを観測することが望ましいとされており、そうした短い時間間隔で照射され、伝播する複数の超短光パルスを画像、特に動画によりスローモーション観察することがさまざまなレーザー利用技術の基盤となるとされている。

そうした背景から研究チームはこれまで、3次元画像技術のホログラフィと超短パルスレーザーを組み合わせた超短光パルスの伝播をスローモーション動画で記録可能な技術に関する研究を行ってきたという。同技術を用いて、ある1つの超短光パルスが光学部品中や拡散板上を伝播する様子を記録・観察した例についての報告がこれまでされてきたが、同技術を用いてピコ秒やそれ以下の極めて短い時間間隔で複数の超短光パルスが伝播する様子の記録・観察を成功させた報告はなされていなかったとする。