グーグル・クラウド・ジャパンは6月24日、LIXILにおけるAppSheetを活用したノーコード/ローコードによるアプリ開発事例について記者説明会を開催した。
非定型業務でシステム化されていない領域をカバー
はじめに、グーグル・クラウド・ジャパン Google Workspace事業本部 ソリューション営業統括部長の小林直史氏は、不透明な状況下に求められる要素について次のような認識を示した。
「デジタル変革の時代において組織の様態や要素が変化しており、デジタル対する適応力と、イノベーションにかかわる革新力などが求めれらている。ガートナーの調査では91%の組織が何らかの形でデジタルイニシアチブに取り組んでいるほか、エンタープライズソフトウェアに対する世界のITコストは年率10.5%で増加しているとの結果もあり、企業はいかにコストを抑えつつDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むかが喫緊の課題となっている。一方、IT管理者はセキュリティとコンプライアンスの管理を徹底しながらイノベーションを実現したいと考え、LOB(Line Of Business)ユーザーは企業のデータソースとの接続を維持しながら業務の合理化とデジタル化を図りたいと感じている」(小林氏)
IT部門ではセキュリティを担保したデータの信頼性やガバナンス、費用対効果などを実現したい一方で、ユーザー部門ではリアルタイムなデータ、アジリティ、成果、セルフサービス・ツールを望んでいることから、トレードオフの状態となっている。
このような状況において双方にとって合理的な側面を見つながら、ユーザー部門に必要なツールを提供するものとして、着目されているのがローコード・ノーコードに代表されるセルフ開発ツールだという。Google Cloudではノーコード開発プラットフォーム「AppSheet」を提供し、非定型業務においてシステム化されていない領域をカバーする。
AppSheetクラウド上でデータをまとめ、ノーコードで簡易なアプリ作成やスマートフォンへの配置までを迅速に行える。2020年にGoogleが買収し、Google Cloud上で利用できるようになっており、昨年にはビジネスシーンでの活用を想定して改良を加えたエクステンション「AppSheet Automation」がGA(Generally Available)に到達したことを公式ブログで発表している。
企業での利用を想定したAppSheet
現在、AppSheet利用企業の70%以上がコーディングスキルがない、もしくは初級となっており、これは容易にノーコードでアプリ開発が可能であることを意味している。企業向けに開発されているため、利用に際してはユーザー、アプリケーション、アプリ開発者、データそれぞれにガバナンスを効かせることができるという。
ユーザーの適応状況やアプリの利用状況の可視化、作成したアプリケーションの詳細や利用権限、シャドウITの削減、データ利用の監視、データソースの利用状況を可視化できる。
さらに、接続可能なデータソースはGoogle Driveスプレッドシート、Microsoft 365のExcel、SQL Server、mySQL、PostgreSQL、AWS DynamoDB、Oracle、Apigee、Smartsheet、Salesforceなどデータベース、APIも含まれるほか、電子サインアプリやレポートツールをはじめとしたデザインテンプレートも備えている。
加えて、Botと呼ばれるAutomationで条件分岐を含めたプロセス処理を実施し、ビジネスワークフローのようにイベントドリブンによるさまざまな定義が可能。そのほか、AIの活用など高度な機能やパフォーマンス評価、アプリケーション管理、セキュリティも確保しているという。