ブルーイノベーションは6月21日、幕張メッセで開催されている「Japan Drone 2022」(6月21日~23日開催)にて、プラントやインフラ施設、工場や上下水道などの屋内点検向け球体ドローン「ELIOSシリーズ」の最新モデル「ELIOS 3」を発表し、デモンストレーションを公開した。
ブルーイノベーションは 2018年に日本おける独占販売契約をスイスのFlyabilityと締結し、ELIOSシリーズを使用した点検ソリューションの提供を提供している。プラントや発電所、下水道などを中心に200カ所(2022年3月末時点)を超える屋内施設でのドローン点検の実績がある。
今回発表したELIOS 3は2022年9月の発売を予定している。同ドローンは世界初という屋内3Dマッピング用LiDARセンサーと、飛行空間をリアルタイムに3Dモデル化するSLAMエンジン「FlyAware」を搭載。LiDARセンサーによりスキャンされた空間情報は、高精度3Dマップとしてリアルタイムで表示され、ELIOS 3の位置情報と周辺環境を瞬時に把握できる。
「FlyAware」はセンチメートル単位の精度の屋内GPSとして機能する。これらの技術により、点検対象箇所・施設の多角的なデータ取得と、空間情報の3D化によるドローン周辺環境の把握が可能になる。測量レベルの点群データをリアルタイムに表示できるのが、同ドローンの強みだ。
さらにSLAM技術を活用した安定アルゴリズムにより、ドローンのわずかな予測不能な動作を検出し、補正指示がフライトコントローラーに送られる。これにより、ドローンは過酷な条件下であってもピタリと空中に静止できる。
代表取締役社長の熊田貴之氏は、「キーワードは『みる』から『はかる』。ELIOS 3は点検だけではない、測量のための3次元化が可能な屋内ドローンだ。これは空飛ぶカメラでない。強力な空飛ぶデータ収集デバイスだ」と説明した。
さらに、取得したデータはELIOS 3と同時にリリースされる専用解析ソフト「Inspector 4.0」を通して高解像度な3Dレポートとして出力され、施設の破損や異常箇所の位置を3Dマップ上で直感的に把握し共有することができる。
拡張性も有しており「これからのニーズにも対応する」(熊田氏)という。カメラやセンサーなどのデバイスを装脱着できるモジュラー式の2つのポートを新たに設けた。1つはLiDAR専用で、もう1つは補助ペイロード用。
また、防塵1万6000ルーメンのLEDライトを搭載しており、熟練した技術を持った人による目視検査と同じように、ピンホールやひび割れ、腐食などを自然に見つけ出すことができるという。
なお、ELIOS 3の飛行時間は12.5分(ペイロードなし)、9.1分(LiDAR搭載時)で、可視カメラ(4K)と赤外線カメラ、距離センサーが搭載されている。前シリーズではボトルネックになっていたフレームの映り込みもなくなった。
熊田氏は、「今までのドローンを携帯電話(フィーチャーフォン)と例えると、ELIOS 3 はスマートフォンと言える。LiDARセンサーやSLAMエンジンの搭載により、リアルタイムの取得データの精度や範囲、深度、アウトプット、操作性や安全性などさまざまな要素が飛躍的に向上した。ELIOS 3を、点検対象施設のフェーズや課題に合わせて進化させていく」と述べていた。