富士通は6月20日、屋外で利用するローカル5G(第5世代移動通信システム)のシステム全体を検証できる常設の施設として、同社の通信機器の製造拠点である那須工場(栃木県大田原市)に検証環境を構築したことを発表した。
実験基地局には、同社のローカル5Gスタンドアロンシステム「FUJITSU Network PW300」を使用したネットワークを常設する。ドローンやAGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)などの検証器材や作業端末を持ち込んで検証を行える。
また、同施設ではトレンドマイクロが提供する5Gおよびローカル5G向けセキュリティソリューション「Trend Micro Mobile Network Security」をFUJITSU Network PW300に組み込んでいるという。カバーエリアは富士通那須工場内検証エリアの範囲約1万5000平方メートル、高度20メートルまで。
検証の例として、ドローンを活用した侵入者検知やドローンの制御検証のほか、自然災害発生時の被害状況把握や屋外設備の遠隔監視などが可能だという。また、屋内検証環境である「FUJITSU コラボレーションラボ」と連携して、屋内動作検証から実際の運用に近い屋外での検証まで含めた大規模な検証にも対応するとのことだ。
近年はあらゆる業界においてDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた動きが加速しており、ロボットやAI(Artificial Intelligence:人工知能)を活用した保安対策や点検作業の自動化に必要なインフラとしてローカル5Gが注目されている。
しかし、ローカル5Gの屋外検証は広大な敷地が必要となるため、実施場所や期間などの条件に沿う環境を臨時に構築して実証実験を行うケースが多い。これに対し同社は、常設かつドローンが飛行可能な屋外検証環境として、ローカル5G検証環境の構築に至ったという。