福利厚生代行サービスを手掛けるベネフィット・ワン(ベネ・ワン)は6月20日、事業戦略発表会を開催した。2022年4月に発表したJTBとの協業後、初の発表会となる。代表取締役社長の白石徳生氏が登壇し、同社が注力している新サービスや今後の福利厚生・人事サービスの展望について説明した。

JTBは21年10月に国内業界3位だった子会社、JTBベネフィットをベネ・ワンに150億円で売却し、同社は福利厚生代行市場に参入した。福利厚生代行サービスとは、企業が従業員に提供する福利厚生をまとめて請け負うサービスのこと。

ベネ・ワンが提供する「ベネフィット・ステーション」は、グルメやレジャー、ショッピングだけでなくeラーニングや介護・引っ越しなど約140万件以上のメニューがあり、社員の家族も利用できるサービスだ。最近ではワクチン接種運営代行といった自治体向けのサービスもそろえており、2022年4月時点で導入企業法人数は1万6000社、法人会員数は1548万人を突破している。

  • 「ベネフィット・ステーション」検索画面。グルメを選択すると……

    「ベネフィット・ステーション」検索画面。グルメを選択すると……

  • 利用できる飲食店が表示される(画像は50%オフの飲食店)

    利用できる飲食店が表示される(画像は50%オフの飲食店)

白石氏は「『福利厚生』は中小企業にとってまだまだ認知度の低いサービスだ。今後は、特に日本の就業人口の約8割を占める中小企業の会員数を伸ばし、福利厚生を誰もが知っているような標準語にしていきたい」と語った。

  • ベネフィット・ワン 代表取締役社長 白石徳生氏

    ベネフィット・ワン 代表取締役社長 白石徳生氏

続いて白井氏は、会員数の拡大だけではなく「収益構造の多重化」も重要視していると説明。同社が2021年に開始したサービス「給トク払い」は、職域ならではの決済手段を活用している。同サービスは、支払いを給料天引きにする代わりに、約2割~3割安い価格で各種サービスが利用できるもの。

「我々が提供するのは、BtoE(Employee:従業員)モデルのサービス。導入企業の社員は、業界最安値で住宅を借りたり、電気やガス、携帯電話料金、保険料を払ったりすることができる。最近はサブスクリプション型のサービスとも契約している。10年以内に日本のほとんどのサラリーマンが、給料天引きモデルのサービスを利用するはずだ」と白石氏は胸を張った。

  • 「ベネフィット・ステーション」の給トク払い

    「ベネフィット・ステーション」の給トク払い

  • 給料天引きで利用できるサービス一覧(例)

    給料天引きで利用できるサービス一覧(例)

ベネ・ワンは、会員数拡大のためプロモーションにも資金を費やす。俳優の反町隆史さん、大友花恋さんを起用した同社初となるCMを6月26日より放送開始する。

「日本で働いている約6500万人を全員会員化することが目標。福利厚生は社員の家族も利用できるので、最終的なゴールは日本国民全員を会員にすることだ」と、白石氏は意気込みを見せた。

  • 左から、俳優の大友花恋さん、反町隆史さん

    CMに出演する俳優の大友花恋さん(左)、反町隆史さん(右)