凸版印刷は6月20日、製造工場における排水の水位や水素イオン濃度をはじめとする環境データを自動収集し、工場全体のリスクマネジメントを強化する統合的な監視システム「e-Platch(イープラッチ)」を開発したと発表した。
同システムは次世代LPWA(低消費電力広域ネットワーク)規格であるZETA(ゼタ)を活用。多くの工場では、入り組んだ構造に起因する電波の届きにくいエリアや、電源の確保が難しい場所が存在するが、電池駆動タイプの中継器を適切に配置するZETAによって、死角のない無線通信ネットワークの敷設が可能になる。
また、データ変換機器「ZETABOX」を活用して、測定器から出力されるデータをデジタル化し、ZETAネットワークに転送する。既存の測定器が流用できるため、導入コストを低減でき、データ収集に伴う測定器のメンテナンスなどの作業変更も不要だ。
同システムはアナログメータの遠隔自動検針機能も搭載している。、アルプスアルパインが開発したIoTソリューション「アナログメータ監視システム」とのシステム連携により、工場内巡回の負荷を低減するアナログ式メータの遠隔自動検針を実現した。
同機能では、指針に装着した専用マグネットホルダーの動きを磁気センサーで計測し、指針角度をZETA通信技術によりクラウドサーバ上に送信。メータ値を算出し、アプリケーション上で「見える化」する。
さらに同システムは、環境保全業務を見える化する「e-Platch」専用の監視アプリケーションも搭載。各種センサーで収集したデータは、クラウド型システムプラットフォーム「ZETADRIVE」で管理される。「ZETADRIVE」で管理されたデータは、専用監視アプリケーションとのAPI(Application Programming Interface)連携により、データ分析、グラフ作成、アラート機能、レポート生成などに対応し、環境保全業務を統合的に見える化するという。
凸版印刷は、「e-Platch」を、環境データの収集に課題を抱える企業向けに、環境保全DXトータルソリューションとして2022年12月より販売を開始し、2023年度中に、試験導入も含め100件の採用を目指すとのことだ。