凸版印刷は6月16日、メタバース上に高精細な美術館/博物館を構築するサービスである「MiraVerse(ミラバース)ミュージアム」を開発したと発表した。提供開始に先立ち、山形県天童市の広重美術館をメタバース上に構築した「MiraVerseミュージアム 広重」を一般公開した。
新サービスでは、オリジナル作品の色や質感の忠実な再現を追求するとともに、バーチャル空間ならではの特徴や、アバターを介した友人や学芸員とのコミュニケーションを組み合わせた、新しい作品鑑賞体験を提供する。
同サービスの特徴として同社は、現実空間では不可能な鑑賞体験ができること、名作の一堂展示や多言語での紹介ができること、複数人での同時鑑賞やギャラリーツアーなどのイベントができることの3点を挙げている。
鑑賞体験に関しては、色や質感を高精細撮影・色彩計測などでデジタルアーカイブした作品のデータを、メタバース上で忠実に再現しており、ガラスケースがないため、リアルの展示では味わえない、実際に手に取って見ているかのような体験が可能。
一堂展示に関して、繊細な版画作品は保存のため常設している例は少なく、複数の作品をローテーションさせながらの展示が多いという。しかし同サービスでは、名作を一堂に会して展示することで、作品間のつながりや作風の変化などを体験できるとしている。
また、日本語・英語で学芸員監修の作品解説を聴くことも可能であり、海外の方や展示作品を詳しく知らない人でも楽しく鑑賞できるとのこと。加えて同サービスでは、アバターを介して鑑賞者同士や学芸員との会話が可能であり、学芸員によるギャラリーツアーなどのイベントの開催や友達同士のグループ鑑賞など、多様なコミュニケーションの場を提供するとしている。
今後、他の美術館作品とのコラボレーション展示やギャラリーツアーなどのイベント開催により、美術館と鑑賞者、鑑賞者同士でのコミュニティの形成を目指し、現実空間の施策と連動させることで同サービスを地方創生に役立つビジネス基盤として展開していくとのこと。
さらに、同サービスを世界中の美術館/博物館に展開させることで、鑑賞機会を多様な人々に届けるとともに、新たな鑑賞者との接点や集客を通じ、美術館・博物館を支援できるビジネスの創造を目指す。