順天堂大学は6月14日、ビフィズス菌の摂取による軽度認知障害(MCI)患者の認知機能の改善および脳の萎縮が進行するのを抑制する効果を確認したと発表した。

同成果は、順天堂大大学院 医学研究科 ジェロントロジー研究センターの浅岡大介准教授、同・大草敏史特任教授、同・佐藤信紘特任教授らの研究チームによるもの。詳細は、アルツハイマー病に関する全般を学際的に扱う学術誌「Journal of Alzheimer’s Disease」に掲載された。

認知症の前段階であるMCI患者は、現在国内では約400万人いると推計されており、そのうち年間10~30%が認知症に移行するとされている。MCIや認知症に対する有効な治療法がない中、発症予防に注目が集まっており、特に、生活習慣の改善など日常生活の中で実践できる有効な対策が求められている。その中で、さまざまな全身的な疾患と「腸内細菌叢(腸内フローラ)の異常」との関連が報告されるようになってきたことから、近年、腸内細菌叢の制御を介した健康維持への期待が高まっている。

そこで研究チームは今回、順天堂大医学部附属 順天堂東京江東高齢者医療センターをフィールドとして、MCI患者130名を対象とするプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を実施し、ビフィズス菌摂取による認知機能、MRI画像診断における脳萎縮度および腸内細菌叢への影響を確認することにしたという。