日本取引所グループは6月1日、ブロックチェーン基盤を活用した社債型セキュリティ・トークンである「グリーン・デジタル・トラック・ボンド」のうち、第1回無担保社債(社債間限定同順位特約および譲渡制限付)の発行条件を決定したと発表した。同債券には、第一生命保険が投資を表明している。

同債券の発行体は日本取引所グループとなり、調達した資金は連結子会社であるJPX総研に対する貸付金に充当する。JPX総研は当該貸付金をグリーンプロジェクトにかかる再生可能エネルギー発電施設への設備投資に充当する。発行条件の詳細は以下の通り。

  • 第1回無担保社債(社債間限定同順位特約及び譲渡制限付)(グリーン・デジタル・トラック・ボンド)の発行条件

グリーン・デジタル・トラック・ボンドは、日本取引所グループ、日立製作所、野村證券、BOOSTRYが協業し、開発を進めているデジタルな仕組みを用いたグリーンボンドだ。

ESG(環境、社会、ガバナンス)投資で活用されるグリーンボンドは、発行した企業や団体の環境改善活動(グリーンプロジェクト)のために活用されるという特徴がある。グリーンボンドへの投資においては、債券の発行会社にはグリーンプロジェクトにおけるCO2削減量などのグリーン性指標を示すデータ取得・集計などの煩雑さのほか、投資家にはグリーンプロジェクトのモニタリングのための情報収集などの課題があり、4社はそうした課題を解決するため、今回グリーン・デジタル・トラック・ボンドのスキームを開発した。

  • グリーン・デジタル・トラック・ボンドのスキーム概要

同スキームでは、ブロックチェーンなどのデジタル技術を活用して、データの透明性の向上およびデータ収集を効率化する。グリーン発電設備から発電量やCO2削減量といったグリーン性指標を発行会社が関与することなく取得できるようにすることで、発行会社のオペレーション・システム連携などの負担・煩雑性を解消する。

また、取得したグリーン性指標にかかるデータを可視化し、いつでも閲覧・データダウンロードを可能とすることで、グリーンプロジェクトの透明性を向上させるとともに、投資家におけるモニタリング作業などの効率化を図る。

データの取得および可視化は、日立、JPX総研が新たに開発するシステムにて実装され、投資家はいつでもグリーン性指標を確認することができるようになる。