京セラは5月25日から27日にかけてパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展 2022」の出展に先駆けて、5月23日に記者発表会を開催し、展示を予定している技術について説明を行った。
同社の今年の展示技術テーマは「路車協調型自動運転社会の実現」。具体的には、「ITS無線路側機」や「FIR(遠赤外線)カメラ路側機センシングシステム」、「路車協調システム」、「運転視界拡張技術」、「自動運転バス」などを展示するという。
FIRカメラでとらえた情報を車に送るITS無線路側機
同社が開発している路車協調システムは、路側機のセンサが物体情報を取得し、取得した情報を車に無線で通信、受け取った情報を車側が認識し、表示するというものだ。これによって自車からは見通せない死角などの情報を車側に提供することを目指している。
この路車協調システムを実現するものとして、FIRカメラ路側機センシングシステムとITS無線路側機を出展する予定だ。
FIRカメラ路側機センシングシステムは、道路に設置したFIRカメラで、物体から放射される遠赤外線を映像化することにより、光源に左右されず、安定したセンシングを実現できる技術。
複数のFIRカメラからの検出結果を制御ボックス(現在開発中)で統合し、1つの情報として出力することができる。これによって、複数のカメラで信号の無い交差点や合流路などの死角情報をまんべんなく捉え、カメラが重なる部分の情報を自動的に整理することができるという。
そして、このFIRカメラ路側機センシングシステムで捉えた死角情報を、同社が同じく開発中のITS無線路側機と連携させることで、車両に送ることができるという。
ITS無線路側機は、FIRカメラなどのセンサをはじめとしたさまざまな機器を接続することができ、センサによって検知した死角情報を車両に送信することが可能だ。電柱や信号機に取り付けることを想定しており、防水、防塵で24時間365日稼働することができる。
人とくるまのテクノロジー展 2022では、FIRカメラ路側機センシングシステムによるリアルタイムセンシングのデモを見ることができる。
また、路車協調システムをドライバ―目線で体感できるデモも用意される予定とのことだ。
死角の低減を目指すために開発した「光学迷彩技術」
もう1つ、目玉となる展示が、死角低減を目指す「運転視界拡張技術」だ。これは、側面や後方などドライバーから見えない部分を映像で分かりやすく提示するシステムだ。
その技術の1つとして、ドライバーの死角となるダッシュボードやピラーを“透明化”させることで死角の低減を目指す「光学迷彩技術」のデモを展示予定だという。
同技術は、東京大学 先端科学技術研究センターの稲見昌彦教授と協働した、独自の光学迷彩技術。光源に光を戻すことができる再帰性反射材を用い、対象物の背景にある景色を投影することで、対象物を透明に見せることができるという。
展示ブースでは、ほかにも2021年に実証をおこなった自動運転バス「trota(トロタ)」や「レーザーヘッドライト光源モジュール」、「レーザーファイバー照明デバイス」なども紹介される予定だ。
京セラの執行役員 研究開発本部長である仲川彰一氏は「開発中の技術も展示しているので、京セラの持つ技術と組み合わせて、新たな技術を創出できるようなパートナーなどにもアピールしていきたい」とした。
なお、人とくるまのテクノロジー展 2022は完全事前登録制のため、来場の際には注意が必要だ。