戸田建設、富士通、きんそくは5月23日、地中埋設管の破損事故を未然に防ぐための埋設探査において、AI(Artificial Intelligence:人工知能)モデルを用いて埋設管を効率的に検出するための埋設探査システムのプロトタイプを開発したことを発表した。

同システムは、断面図に現れる地中レーダーの波形を富士通のAI技術により解析し、その連続状態から平面および深度方向の埋設管の位置を推定するものだ。埋設管位置の推定に対する信頼度を存在確率として0%から100%の範囲で利用者に示すことができるほか、2Dまたは3Dモデルでの出力も可能。

  • 埋設探査システムのイメージ

    埋設探査システムのイメージ

  • 埋設探査システムによる解析フローの概略

    埋設探査システムによる解析フローの概略

同システムは専門技術者の目視判定結果と同程度の精度が得られるとしており、目視での見落としの可能性を考慮すると、検出結果の信頼性向上も期待できるという。事前の検証の結果から、局所的には同システムが専門技術者の解析結果を上回ることも確認できたとのことだ。また、専門技術者が目視判定する場合と比較して、波形画像の解析に要する時間の75%以上削減も見込めるようだ。

  • 実験フィールドの様子

    実験フィールドの様子

  • 埋設探査システムによる解析結果(平面図)

    埋設探査システムによる解析結果(平面図)

  • 専門技術者による解析結果(平面図)

    専門技術者による解析結果(平面図)

また、同システムは検出した波形パターンの違いをAIで解析し、金属または非金属の判別や、管内の水の有無の判別などが可能だ。地上から見た平面図や各断面図の表示、埋設管の存在確率や深度によるフィルタリング表示など、利用者が必要な情報を可視化できる利点も持つ。