NTT東日本は5月16日、NTTアクセスサービスシステム研究所と連携し、光センシング技術「DAS(Distributed Acoustic Sensor、分布音波センシング装置)」を用いた通信設備保守を実用化したと発表した。5月23日より東京エリアから運用を開始し、全国へ展開する。

従来、地下に埋設された通信設備の設備位置を特定する方法としては、OTDR測定器(Optical Time Domain Reflectometer、光パルス試験器)により光ファイバケーブル長を測定したのち、マンホールの坑内に人が立ち入って目視により現認する方法が採用されていた。

DASを通信設備の保守業務に活用することで、現地でマンホールに入坑する前に、鉄蓋をゴムハンマーなどで打撃して測定点から打撃したマンホールまでの距離を正確に測定できるため、複数のマンホールへ入坑することなく故障点の設備位置の特定が可能となり、作業の効率化が実現できる。

  • マンホール鉄蓋を打撃して、故障点の設備位置を特定する

DASは、光ファイバ心線の超微振動を検知できる技術だ。C-OTDR(Coherent detection - Optical Time Domain Reflectometer、コヒーレント検波方式を用いたOTDR)光測定方式により、既存の光ファイバ心線に対して意図的に加えられた振動を測定することを可能だ。地中に埋設されている光ファイバケーブルに直接触れることなく、地上からマンホールの鉄蓋に打撃振動を加えることで発生する光ファイバ心線の超微振動を検知し、振動点までの距離を測定することができる。

  • 打撃による振動検知イメージ

同社は今後、測定技術の高度化による位置特定精度の向上、機械学習などを活用したデータ分析・解釈の検討などにも取り組む。

また、NTTグループの目指すIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)時代に向けて、同技術の運用ノウハウを活用して光ファイバケーブルをセンサとして活用する「光ファイバ環境モニタリング」を実現し、災害対策やインフラ設備の監視など、地域社会の課題解決を目指す。