NECとトヨタテクニカルディベロップメント(TTDC)は5月20日、工場や倉庫内における自動車などの移動体と安定的な無線接続を実現する無線制御システムを開発したと発表した。同システムは、先行してトヨタ自動車元町工場に導入されている。
同システムは、TTDCの無線通信モジュールを自動車やAGV(無人搬送車)などの移動体に搭載して利用する。「NEC 無線通信安定化ソリューション」を活用しており、移動体との無線通信で問題となるローミング時の切断や干渉による通信不良の発生を防ぐことで、安定した通信が可能となる。
また、TTDCの技術により、無線通信モジュールの基板の小型化(サイズ72mm x 44mm)を実現しており、スペースが限られたさまざまな移動体への搭載できる。
NECが保有する技術により、同システムではアクセスポイントの電波強度だけでなく、帯域の混雑度などを考慮して利用可能な帯域をリアルタイムに推定し、高品質な通信経路・アクセスポイントへシームレスな切り替えを行える。加えて、同システムでは無線通信区間全体を仮想化している。仮想化されたネットワーク上で通信経路を適切に切り替えることで、アクセスポイントの高度な機能を用いることなく無線接続を安定化することができる。
両社は今回のシステム開発の知見を活かし、トヨタ自動車や他の製造業の企業におけるAGV・工作機械・ロボットなどの無線制御や、検査データの収集、プログラム配信を行うシステムへの提供を目指す。