スクウェア・エニックスは、ゲームを中心とするデジタルエンタテインメント・コンテンツを制作、運営、販売するほか、ゲーム関連書籍やコミックの出版、デジタルコミックの配信、また、自社コンテンツを題材にしたグッズの制作・販売など、世界中で多様な事業展開を推進している。

  • スクウェア・エニックス 情報システム部 エンタープライズ・インフラストラクチャー リードエンジニア 越賀準氏

    スクウェア・エニックス 情報システム部 エンタープライズ・インフラストラクチャー リードエンジニア 越賀準氏

「3層隔離」によるセキュリティ強化と、GPU仮想化の両立をVDIで実現

同社は2017年から、Omnissaが提供するVDI(Virtual Desktop Infrastructure)である「Omnissa Horizon(旧VMware Horizon)」を利用している(※)

(※)Omnissaは、2024年7月にBroadcom傘下にあった旧VMwareのEUC(エンドユーザーコンピューティング)部門が独立して設立された。

「社内でセキュリティインシデントが発生し、その対応として“3層隔離”という考え方が出てきました。隔離したゲートとして何を使うのかを検討する中で、物理端末を複数台用意して使い分けるよりも、仮想環境をゲートとして活用しようと考えました」と、VDI導入の理由について語るのは、VDI運用のリーダーである情報システム部 エンタープライズ・インフラストラクチャーリードエンジニア 越賀準氏だ。

  • スクウェア・エニックス 情報システム部 エンタープライズ・インフラストラクチャー リードエンジニア 越賀準氏

    スクウェア・エニックス 情報システム部 エンタープライズ・インフラストラクチャー リードエンジニア 越賀準氏

また、同社では2014年頃からVDIによる仮想GPUについても、検討を進めていたという。

「当社のようなゲーム開発会社では、GPUを多く使用します。GPUの仮想化技術が2014年頃から登場し、GPUを仮想化できるのであれば、VDIをより効率的に活用できるのではと考えました」(越賀氏)

2017年当時は、世界的なスポーツイベントの開催を間近に控え、東京都や経団連が混雑回避の観点から在宅勤務の導入を提唱しはじめており、それもVDI導入を後押しする要因となったという。

UI/UXの優位性に加え、10年以上続く「ユーザーコミュニティ」の知見を評価

同社はVDI導入にあたり複数のソリューションを比較検討したが、UI/UXが優れている点や仮想GPU分野で先行している点を評価し、Horizonの導入を決めたという。

また、Horizonには旧VMware時代から続くユーザーコミュニティが存在しており、現在も活発に活動している。ユーザーコミュニティには豊富な知見が蓄積され、技術者同士の情報共有が活発に行われている点も、導入の大きな要素になった。

「ユーザーコミュニティは本国のエンジニアともつながっており、気軽に情報交換できる場になっています。コミュニティでは、良い点だけではなく課題点も共有され、それがどのように解決され、メーカーにどうフィードバックされ、改善につながってきたのかが重要です。Horizonのユーザーコミュニティは、そうした活動を10年以上にわたって継続しています」(越賀氏)

  • <center><small>OmnissaのCommunityサイト</center></small>

    OmnissaのCommunityサイト

社員から寄せられた「VDIがあって助かった」の声

スクウェア・エニックスでは、VDIを大きく2つの用途で活用している。ひとつは、個人情報等を扱うシステムへアクセスするためのゲートとし、インターネットから隔離されたセキュアなVDI。もうひとつは、物理PCに近い柔軟なクライアント環境かつBYODからの接続を許可しているVDIだ。

VDI導入当初は社内オフィスでの利用が中心であったが、2020年のコロナ禍を契機に、在宅勤務用途のほか、海外拠点や外部委託先での業務においてもVDIが活用された。コロナ禍のタイミングでVDIを増強した結果、「VDIがあって助かった」という声も多く寄せられたという。

現在では社員/外部委託含めおおよそ500名、1,000台のVDIを利用しており、AI用途でも活用が進んでいる。

「AIブームが到来した際、AIはGPUパワーを必要とするため、仮想GPUを多く搭載したVDIを提供することでAIを活用するなど、時代に合わせてVDIの用途を拡大しています」と、越賀氏は説明した。

VDIでは、始業時などに多数のユーザーが仮想マシンを一斉に起動することで、処理が集中して遅延が発生する「ブートストーム」や「ログオンストーム」が課題となることが多いが、同社では、オールフラッシュストレージを採用することで、これらの課題を回避したという。

「弊社ではレイテンシー(通信の遅延時間)を非常に重要視しています。導入検討時には、レイテンシーとUXの観点をかなりシビアに評価しました。当時はオールフラッシュストレージがまだ少ない時代でしたが、低レイテンシーのストレージを選定した結果、ブートストームやログオンストームといった現象は発生しませんでした。」(越賀氏)

スクウェア・エニックスが痛感したVDI活用のメリット

同社はすでに8年以上にわたってVDIを運用しているが、現在、VDIを安定した状況で運用できているという。

「導入初期にはさまざまなトラブルがありましたが、ここ数年は大きな問題もなく、安定稼働しています。運用する立場として、安定した製品を提供してもらえるのは、非常にありがたいと思っています」(越賀氏)

さらに越賀氏はVDIのメリットとして、環境展開のスピードも挙げる。

「現在は、デスクトップPCやノートPCを新たに用意しようとすると、SSDやメモリの調達が難しく、1〜2カ月かかることもあります。その点、VDIであればサーバのリソースに余裕があれば、即日リリースすることができます」(越賀氏)

また、海外拠点向けの端末を提供する場合も、VDIには大きなメリットがあるという。

「物理端末を海外に発送する場合、通関や日数の問題など多くのハードルがあります。また、現地で端末が故障した際のリスクもありますが、VDIであれば迅速に対応可能です」(越賀氏)

Omnissaに移行後も、変わらぬサポート品質と高い信頼関係を維持

Horizonの提供元は旧VMware(Broadcom傘下のEUC部門)からOmnissaへと移行したため、サポート体制が気にかかるが、越賀氏によれば、問題なくスムーズに行われているという。

「旧VMwareのEUC部門はコミュニティがしっかりしており、情報共有も活発でした。Omnissaに移行後もコミュニティはそのまま継続され、サポート窓口の対応や問い合わせへのレスポンスも以前と変わりません。」(越賀氏)

一方で、越賀氏は今後の要望として、HorizonサーバのOS対応の拡充を挙げた。

「弊社ではVDIのOSがWindows 7から10、11へ移行するたびに、Horizonサーバ側も追随して移行しています。HorizonサーバがサポートしているOSがWindowsのみであり、OSのサポート終了を意識しながらHorizonの製品ライフサイクルを追いかける必要があるため、LinuxなどWindows以外のOSにも対応してもらえると、管理者の工数削減につながると考えています」(越賀氏)

AI領域でも拡大するVDIのさらなるニーズ

今後は、AI領域における仮想GPU活用でも、VDIのニーズが拡大すると見ている。

「AIの機械学習用に仮想GPUがさらに進化すれば、新たなニーズが生まれる可能性は十分にあると思います」(越賀氏)

現在同社は、VDIを開発業務の一部にも活用し、ハイブリッドワークを推進しているという。越賀氏は最後に、今後はVDIにとどまらず、さまざまな取り組みに挑戦することで、新たな働き方を実現していきたいと力強く語った。

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