北海道大学(北大)は5月18日、リズムに合わせて身体を動かす同期運動に小脳が関わるメカニズムを解明したと発表した。

同成果は、北大大学院 医学研究院・脳科学研究教育センターの岡田研一助教、同・田中真樹教授らの研究チームによるもの。詳細は、英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。

小脳は運動に関与することが知られており、特に何かにつまずいたときや飛んできたボールをバットで打つなど、次に起こる状況を予測し、それに先回りして体を動かす場合に必要になると考えられている。

小脳に損傷のある人の行動解析や脳のシミュレーションを用いた研究によると、小脳は行うべき運動の内部モデルを学習によって生成し、これによって運動の制御や誤差(エラー)の検出を行っているとされている。しかし、実際に内部モデルと運動情報を分離することは難しく、これらに対応した小脳の神経活動が具体的にどういったものなのか、よくわかっていないという。

近年になって研究チームでは、周期的に現れる視覚刺激に同期して眼を動かすようにサルを訓練することに成功したことを報告している。同期運動は、従来、人や鳥、イルカなど音声学習者にしか備わっていないとされていた行動であり、これを行うためには、刺激のタイミングを予測して運動し、行った運動と刺激の時間誤差を検出して予測を更新し続ける必要がある。そこで研究チームは今回、この同期運動を用いて、小脳の予測制御のメカニズムを調べることにしたという。