人類の月面進出を見据え、プロジェクトNOAHでは、月面で人類が自給自足できる環境を作ることをゴールとしているとする。ステップを重ね、低重力環境下での長期間の植物栽培への影響を検証していく計画だ。その中には、開発した装置を、民間企業や研究機関向けに実験環境として提供することも含めているという。

そして、今回発表されたのが、重力発生装置AMAZのプロトタイプだ。AMAZは、日本神話の「天地開闢(かいびゃく)」を由来とし、月面での植物栽培の実現に向けた始まりを意味する。今後は数年にわたって地上実験が進められ、2024年にISSに同装置を設置し、そして運用していくことを目指していくとしている。

  • 重力発生装置「AMAZ」のプロトタイプ

    重力発生装置「AMAZ」のプロトタイプ (出所:DigitalBlast Webサイト)

AMAZは、宇宙環境と月面重力における植物生理の研究を主目的としている。装置の一部を回転させることにより生じる遠心力を用いて、地球のおよそ1/6の月面と同じ重力を再現する仕組みだ。

再現できる重力は1/6で固定ではなく、回転速度を調節することで、火星の重力など、さまざまな重力環境を再現することができ、複数台を用いて重力の強さの違いによる影響の同時比較なども可能である。多様な重力下での栽培を通し、植物の重力応答に関する基礎データを取得していくという。なお、栽培対象はコケ類などを想定しているとする。

なおDigitalBlastでは、プロジェクトNOAHにおいて、さまざまな実験環境の開発を計画しているという。第2弾の「TAMAKI」では、給水機能を備えた植物栽培装置の開発が予定されている。月面での実装を目指し、段階的に生態循環維持システムの構築に必要な研究開発を進め、人類が月や火星をはじめとした宇宙に居住できる未来を目指していくとしている。