群馬大学(群大)は4月25日、健康なマウスを用いて、4週間の低強度運動が共感性を向上させることに加え、マウスの島皮質において、神経細胞の生存や成長などに関わる栄養因子「BDNF」のmRNA量や、その制御に関連する1本鎖RNAの一種「miR-486a-3p」量を増加させることを見出したと発表した。

同成果は、群大 共同教育学部の島孟留講師、群大 未来先端研究機構の川端麗香講師らの研究チームによるもの。詳細は、基礎神経生物学から臨床神経科学まで神経科学に関する全般を扱う学術誌「Brain Research」に掲載された。

共感性は、他者との良好な関係性を築く上で重要な能力であり、それが低下することで、他者への攻撃的な態度の表出につながると考えられている。

これまで、共感性に関わる分子として、“愛情ホルモン”として知られるオキシトシンが注目されてきたが、その臨床応用にはまだ多くの課題があるという。そこでオキシトシンに変わる分子として、近年注目されているのが、神経細胞の生存や成長などに関わる栄養因子である「BDNF(Brain-derived neurotrophic factor)」だという。脳内におけるBDNFの発現を高めるには、低強度運動が有効だと示されていたことから、この運動は共感性の向上に寄与すると研究チームでは予想。実験として、低強度運動介入がマウスの共感性(救助行動)に及ぼす効果、ならびに共感性の表出に関わる脳部位の1つである「島皮質」でのBDNF発現やその調節機構に及ぼす影響を検証することにしたという。