三井不動産は4月22日、東京駅前で8月に完成する予定の「東京ミッドタウン八重洲」に、周辺の飲食店で注文した商品を運ぶ「デリバリーロボット」などを導入すると発表した。清掃ロボット、運搬ロボットなど計19台のロボットを導入する予定で、施設の利便性を向上するとともに、ビル管理人員の省人化を図る。同日、導入する3種類のロボットの体験会が開催されたので、その様子をお届けしたい。
デリバリーロボット
導入するデリバリーロボットは、アスラテックが提供する自律走行型の屋内配送ロボット「RICE(ライス)」。ビルのオフィスに勤務する利用者がアプリで料理を注文すると、配達員がロビーまで運び、RICEに商品を入れる。
同ロボットは自動ドアとエレベーターと連携しており、指定された階まで自立走行し、注文者のオフィスへ商品を届ける。
商品を届けた後は再び充電ステーションに戻る。人と協調して働くことを前提に設計されており、人との衝突を回避したり障害物を避けたりする機能を備えている。
三井不動産は、同サービス導入にあたってUber Eats Japanを含むパートナー企業と共に実証実験を実施した。「東京ミッドタウン八重洲」ではデリバリーロボットを6台導入する予定で、効率的な運用を図る。
三井不動産 ビルディング事業三部 事業グループ 主事の山口周平氏は「6台で足りるのかどうかはわからない。実運用しながら需要を見極め、運用台数を調整していく」と説明した。
運搬ロボット
運搬ロボットはDoogの「サウザー」を導入する。鉄道業界で重宝されている同ロボットはカスタマイズ性に優れており、「東京ミッドタウン八重洲」には大容量で小回り性に優れるように調整したロボットを5台導入する。人の足をセンサーで捉え、重い荷物を運びながら前で歩く人についていく。
前で歩く人の足以外は障害物ととらえ避ける。危険性が高いからこそ、センサーの技術には注力しているとのことだ。「導入する5台の具体的な運用方法は今後検討していく」(山口氏)
清掃ロボット
清掃ロボットは、パナソニックの「RULO Pro」を8台導入する。オフィスビル共用部を中心に床面清掃の自動化を目指す。4種のセンサーにより壁際まで接近して床面全体を効率的に清掃するという。
「東京ミッドタウン八重洲」に導入するロボットはカスタマイ図を行い、エレベーターと連携するようにした。デリバリーロボットと同様、自立的にエレベーターを使いこなし、垂直方向の移動を実現する。紙パックでのごみ捨て方式で、使い勝手の良さも導入に至ったポイントだ。
また長距離レーザーセンサーも搭載しており、エントランスホールや会議場といった大空間にも対応するとのこと。
これら3種のロボットは2023年春から稼働する予定。山口氏は「人員削減など一定の効果が期待できる。警備や案内ロボットなどの導入も検討しており、利便性に優れたオフィスビルの開発を進めていく」と話した。