国立天文台(NAOJ)は4月14日、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡などを用いて、地球から約131億光年かなたの銀河において、超大質量ブラックホールへと急激に成長している特徴を示す、塵に覆われたコンパクトな天体を発見したことを発表した。

同成果は、デンマーク・コペンハーゲン大学の藤本征史氏を中心とする国際共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」に掲載された。

ビッグバンからまだ間もない初期宇宙において、太陽の数億倍もの重さの超大質量ブラックホールが発見されて以来、それだけの短期間でどのようにして超大質量ブラックホールが誕生・成長することができたのかが大きな謎となっている。

理論的には、まず爆発的な星形成を起こしている活発な銀河の、ガスや塵に覆われた中心部で、ブラックホールが周囲の物質を大量に飲み込んで急成長していく過程で、ブラックホールの降着円盤が発する強大なエネルギーが周囲のガスや塵などの遮蔽物を吹き飛ばし、最終的に太陽の数億倍という超大質量ブラックホールとその降着円盤が姿を現すと考えられている。

ガスの摩擦で光る降着円盤が、非常に明るく輝くコンパクトな天体として知られているのがクェーサーであり、このような明るいクェーサーの観測から超大質量ブラックホールの存在が知られるようになっている。

爆発的星形成銀河と明るいクェーサーは、ビッグバンからわずか7~8億年後の宇宙で発見されているものの、超大質量ブラックホールの急成長の謎を解き明かす鍵となるような、過渡期の天体はこれまで見つかっていなかったという。