東京都市大学、TIS、岡山理科大学、工学院大学は4月12日、「オンラインでのコミュニケーションで自己開示を促すにはVRアバターを用いることが効果的であること」を明らかにしたと発表した。
同成果は、東京都市大 未来都市研究機構 [VR×社会的交流の場の創生]研究ユニット、東京都市大 メディア情報学部の宮地英生 教授、同 岡部大介 教授、TIS 戦略技術センターの井出将弘 主査、岡山理科大学 経営学部の横山ひとみ 准教授、工学院大学 情報学部の淺野裕俊 准教授らによるもの。詳細は2月28日から3月2日にオンラインで開催された情報処理学会が主催する「インタラクション 2022」にて発表された。
昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、教育や仕事などのさまざまな場面においてオンラインでのコミュニケーションが一般化しつつある。これに伴い、人間関係の構築と維持に重要とされる自己開示を促す「コミュニケーションツール」の発展にも大きな期待が寄せられている。
そうした背景を踏まえ、東京都市大学などの研究チームは今回、男女54ペア(108人)のユーザーを対象に「ビデオチャット」、「外見がユーザーと類似しているVRアバター」、「外見がユーザーと類似していないVRアバター」の3種類における自己開示と互恵性を比較する検証を実施。その結果、「外見がユーザーと類似していないVRアバター」を用いた方がより自己開示において効果的であるとの結論が得られたほか、「外見がユーザーと類似しているVRアバター」、「ビデオチャット」の順で自己開示が促され、自己開示の互恵性(一方が自己開示するともう一方も自己開示すること)についてはどちらのVRアバターを使用した場合でも形成されるものの、ビデオチャットでは形成されなかったとした。
また、参加者の自己開示や互恵性についてはVRアバターとビデオチャットで違いがみられるにも関わらず、ユーザーの体験には違いがみられなかったともしている。
なお、研究チームによると、今後は今回の研究成果の発信を通じ、カウンセリングや1on1ミーティング、マッチングなど新たなVRソーシャルアプリケーションの設計に役立つことが期待されるとしている。