SPACE VALUEとSpace BDは、独自のミッションを担う衛星の開発・打ち上げをなどを通じ、宇宙をテーマに地域活性や人材育成を目指す「花巻スペースプロジェクト UP花巻」を3月15日から開始した。

UP花巻は、衛星の開発から運用を実施する「衛星開発プログラム」と、宇宙を題材に花巻の地場産業に新たな価値を創出することを目的とした「地場産業プログラム」の2つからなり、衛星開発を軸に、宇宙をテーマとして花巻全体を盛り上げ、その魅力を国内外に発信していくとしている。

  • UP花巻で実施予定の2つのプログラム

    UP花巻で実施予定の2つのプログラム(提供:Space BD)

同プロジェクトの発端は、SPACE VALUE代表の安藤修一氏が「衛星の打ち上げプロジェクトを軸に、宇宙をテーマに花巻の魅力を地元の方々が再認識し、国内外にも発信できるようなことをしたい」とSpace BDに相談を持ち掛けたことだという。

宇宙をテーマにした理由を、安藤氏は「自然に恵まれ、住みよいふるさとを未来につなげたいと考えたときに産業の発展と若い世代が夢や希望を描ける環境づくりをすることが大切だと思った。そこで、夢と希望の象徴である“宇宙”に想いを馳せたときに、花巻市出身の作家、宮沢賢治の代表作“銀河鉄道の夜”が花巻のシンボルの1つになっていると感じ、このプロジェクトを企画することにした」という。

プロジェクトの運営は、オーナーをSPACE VALUEが務め、Space BDはプロデューサーという形で運用を行っていくという。

また、衛星の開発および運用は、衛星の開発実績を持つベンチャー企業「アークエッジ・スペース」が担当する。

  • プロジェクトの運用体制

    プロジェクトの運用体制(提供:Space BD)

2024年に独自の衛星の打ち上げを目指す

衛星開発プログラムでは、UP花巻独自のミッションを担ったワイド6U規格(10cm×20cm×30cm)の超小型人工衛星の開発を行う。

衛星はカメラなどを搭載し撮影機能を持つ予定で、2024年に打ち上げる計画だ。

同プログラムには人材育成の一環として、岩手県立花巻北高等学校の全生徒が参加し、2022年4月より同高校のカリキュラムとして、衛星の名称と衛星が担う宇宙空間でのミッションの検討および衛星開発プロセスの追体験が予定されているという。

また、東京大学や岩手医科大学などのゲストスピーカーによる授業も行われる予定で、これらのカリキュラムを通じ、花巻北高校の生徒に宇宙に携わる仕事について興味関心を持ってもらうキャリア教育や、科学分野やものづくりへの関心を高めるなど、生徒に広い視野を持ってもらうことも目的の1つだという。

  • 花巻北高校で実施予定のカリキュラム

    花巻北高校で実施予定のカリキュラム(提供:Space BD)

花巻北高校の生徒会長、佐々木芽衣さんは衛星のミッションについて「SDGsなどにも絡められるような活用法など、高校生の柔らかい頭で考えていけたら面白いと感じている」と期待を膨らませた。

地元企業を募り、コンテンツ開発を推進

一方の地場産業プログラムでは、花巻市の地元企業とともに、花巻の魅力である観光・伝統産業などに「宇宙」の要素を組み合わせた新しいコンテンツ開発を行う計画だ。

また、今後は、地元企業との検討の基盤構築の後、企画の立案・実行を共に実施する若者も募集し、社会人との交流や実際の企画運営を通じて未来の花巻のリーダー育成の場としていく予定だという。

同プログラムでは、まずUP花巻の目的に賛同する花巻市の地元企業を募集していくとのことだ。

  • UP花巻の全体スケジュール

    UP花巻の全体スケジュール(提供:Space BD)

Space BD 代表取締役社長の永崎将利氏は「このプロジェクトは世界的に見ても珍しい内容だと思っている。花巻発で世界に誇る一大プロジェクトになると感じているので、このプロジェクトに全力で貢献していきたい」とした。