東海旅客鉄道(以下略、JR東海)は、本年に投入される新形式車両315系、HC85系において、車両機器の異常や不具合の検知と監視、冷暖房の的確な制御を遠隔で行う監視システム「DIANA(ディアーナ)」の運用を4月1日より開始することを発表した。315系のAIによる冷房制御とHC85系エンジンデータのリアルタイム通信は国内初の試みとなるという。

  • 「DIANA」概要(同社資料より)

    「DIANA」概要(同社資料より)

「DIANA」は、空調、エンジン、ブレーキ、空気圧縮機等の車両データをLTE通信でリアルタイムにサーバーに送信、自動分析で車両状態を遠隔で確認できる他、分析による不具合の予兆を検知し通知を行う。315系の車両では、追加で冷房の制御をAIが自動学習を行い設定温度の補正を自動で行う機能も導入される。

315系車両(公式Webサイトより)

315系車両(公式Webサイト)

同社の車両では従来、1日から数日に一度、無線通信でデータを取得し分析用PCで車両データの確認を行ってきたが、システム導入によりリアルタイムにデータを取得し、分析と対応が行えるようになる。不具合発生前に調査と修繕が可能になり列車の運休と遅延の防止、リアルタイム監視による異常発生の早期の検知と迅速な対処が可能になり、冷房のAIによる自動制御機能では、乗務員が手動補正した温度、湿度、乗車率等の各種データをAIが自動学習し、最適な温度設定を行う。
  • HC85系の取得データ例(同社資料より)

    HC85系の取得データ例(同社資料より)

東日本車両が公開する「HC85系」の画像(公式Webサイトより)

東日本車両が公開する「HC85系」の画像(公式Webサイト)

冷暖房の自動学習・制御最適化システムのみは、315系車両の3月5日のデビューに合わせて既に運営が開始されている。すべてのシステムの導入は、HC85系の投入に合わせて4月1日より運用を開始するという。3月に投入された315系車両は、在来線通勤型電車でバリアフリー設備、車内防犯カメラの新設、開放感あふれるインテリアなどが特徴の新型車両。HC85系は、キハ85系の置き換え車両としてエンジンによる発電でモーターを回して走行するハイブリッド方式を採用し、ハイブリッド車として最高速度120km/hの営業運転を目標に開発されている。