日本製鉄とエクサウィザーズは3月9日、製鉄現場の重機操業における効率的な技能伝承を実現するため、熟練作業者の作業状況を可視化するデータ解析基盤を構築したことを発表した。また、2月から日本製鉄東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)で実証実験を開始した。

製鉄製造現場では、溶けた鉄の成分や品位調整をする際に発生するスラグを分離する作業を、重機操作で実施しているという。この作業は1000度を超える高温溶融物を扱うため、作業員は現場に設置したカメラで状況を確認しながら、重機を用いて遠隔操作で実施している。また、高温溶融物の状況が変化する中で、作業員の知識や経験に基づく判断が重要となるため、効率的な技能伝承のためには実作業の指標化や熟練作業員のノウハウを形式知化する必要がある。

  • 製鉄プロセスにおけるスラグ分離作業イメージ

そこで両社は、エクサウィザーズが提供する「exaBase ロボティクス」を用いて、重機の操業位置や速度といった「センサーデータ」、スラグ分離作業の状況などの「動画データ」、処理日時や作業者情報をはじめとする「操業情報」を連携し、現状作業の可視化に取り組んだ。

また、作業員の熟練度合いを解析することで、勤続10年以上の作業員が持つ操業技術を可視化し、新人作業員でも同程度の操業が行えるように支援するソフトウェアの検証を開始しているとのことだ。

  • 熟練作業の傾向性把握の流れ

なお、エクサウィザーズが提供する「exaBase ロボティクス」は、利用者にAI(Artificial Intelligence:人工知能)やプログラミングの知識がなくても、状況に合わせてロボットに動作を学習させることが可能な、ロボット自動学習システムを含むマルチモーダルなロボットAIソリューションだ。