東芝デジタルソリューションズは、東芝が開発した技術「シミュレーテッド分岐アルゴリズム(SBアルゴリズム)」を用いたイジングマシン「シミュレーテッド分岐マシン(Simulated Bifurcation Machine:SBM)」を核にソリューションとして体系化した、量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+」(エスキュービーエムプラス)の提供を3月2日より開始したことを発表した。

同ソリューションは、大規模な組み合せ最適化問題を高速に解くことができるSBMを核としたソリューション。コロナ禍で急がれる治療薬に最適な候補物質の選定や、医療従事者の最適な勤務シフトの作成への適用など、金融・創薬・遺伝子工学・物流・AIなどさまざまな領域で貢献できるとしている。

SQBM+は、短時間で良解を見つける高速アルゴリズム「弾道的シミュレーテッド分岐アルゴリズム(bSB)」と他のマシンを凌ぐ計算速度でより高精度な解を見つける高精度アルゴリズム「離散的シミュレーテッド分岐アルゴリズム(dSB)」という速度・精度・規模を向上させた新しいアルゴリズムを採用しており、この2つのアルゴリズムを自動的に使い分ける機能を実装しているという。

また、汎用的に利用できるイジングソルバーに加えて、用途に応じた目的別ソルバーも提供することで「巡回セールスマン問題」や「シフトスケジューリング問題」といった課題を容易に解くことができるとしている。

これまでも東芝グループでは、既存の計算機を使用し、複雑で大規模な問題の高精度な近似解(良解)を短時間で得ることを可能とするSBMを活用して、株式市場における高速高頻度取引への疑似量子計算機適用の有効性に関する共同検証を開始するなど、SBMの有効性の検証を行ってきた。

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また、Amazon Web Servicesが運営する「AWS Marketplace」で全世界に向けてSBMのPoC版を公開し、大学などの研究機関や、社会が抱える課題を組合せ最適化の実問題として解くことを目指している企業と協力して、さまざまな分野での社会課題解決に向けた実問題探索を行ってきたという。

そして今回、SBMの技術を活用した新市場開拓と新たなソリューション創出を目指した事業共創の取り組みの成果や、国内外でのさまざまな実証実験を通じて得られた知見を生かし、ソリューションとして体系化した「SQBM+」の提供を開始した。

ソリューション名のSQBMはSimulated Quantum-inspired Bifurcation Machineの頭文字であり、東芝の研究開発センターにおける量子コンピューターの研究過程で発明されたSBアルゴリズムを実装したSBMに由来することを表しており、+は、さまざまなサービスを含めたソリューションを意味し、継続的に強化し続けていくことを示すものだという。

今後SQBM+は、現在のAWS Marketplaceでの実行モジュールの提供に加えて、Microsoftが公開している量子ソリューション向けフルスタックパブリッククラウドエコシステム「Azure Quantum」でのクラウドサービスの提供、クラウド環境には向かない秘匿性の高いアプリケーションや、超低遅延を必要とするアプリケーション向けのオンプレミス版の提供、パートナーのアプリケーションへの組み込みやOEM提供、定式化サポートや教育などのプロフェッショナルサービスの提供を予定しているという。