奈良県立医科大学、タムラテコ、MBT微生物学研究所の3者は、有人環境下での空間濃度の基準値とされている0.05ppm、0.1ppmの濃度のオゾンガス曝露において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株であるアルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株の不活化を確認したこと、ならびに高湿度条件下では不活化の速度が速まることを確認したと発表した。

これまで、研究グループは新型コロナの従来株に対するオゾンガス暴露による不活化(実験空間のオゾン濃度は1.0~6.0ppm程度)について報告していたが、今回の研究では、0.1ppm以下の低濃度オゾンガスを用いた新型コロナの変異株についての不活化実験を行い、その効果を試したという。

安全キャビネット内に設置した塩化ビニール製の耐オゾン気密ボックス内でオゾナイザーを稼働させ、濃度0.05ppmおよび0.1ppmの条件(湿度は55%と80%の2種類)で、0.05ppmでは10時間および20時間、0.1ppmでは5時間および10時間暴露させたところ、従来株、アルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株のいずれもオゾン濃度0.05ppm(湿度55%)で20時間後、0.1ppm(同55%)および0.05ppm(同80%)で10時間後、0.1ppm(同80%)で5時間後に感染価は検出限界付近まで減少したという。

なお、研究チームでは、オゾンガスを用いることで、物質の表面についた新型コロナによる接触感染防止に有効である可能性が考えられるとするが、浮遊するウイルスへの効果、人体への影響については検証を行っていないことに注意が必要としているほか、オミクロン株については、実験条件や環境が整い次第、検証を進める予定としている。

  • 新型コロナ

    従来株および変異株4種の試験結果(いずれ の株も同じ結果) (出所:プレスリリースPDF)