島津製作所は2月3日、高速液体クロマトグラフ(LC)「Nexera XS inert(ネクセラ エックスエス イナート)」の国内外での発売を開始したことを発表した。

  • 「Nexera XS inert」

    「Nexera XS inert」(提供:島津製作所)

近年、バイオ医薬品や、ペプチド・オリゴ核酸を活用する「中分子医薬品」の開発が加速しており、これらは現在の医薬品の主流である低分子化合物とは異なる化学的特性を有している。

これらの医薬品の中には、金属に吸着しやすい分子も存在し、分子が装置内部に吸着し、データが不正確になったり感度が低下するといった課題があったという。

そこでNexera XS inertでは、サンプル通過経路の配管素材にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂を用いることで、金属吸着を抑制。従来機比で数倍の感度で分析することを可能とした。

また、PEEK配管をステンレス配管で包む二重構造とすることで、高耐圧対応も実現。これによって高分離の解析にも対応することができるようになったとする。

同社によるとこの二重配管の開発と安定した生産の両立が苦労した点だということだ。

また、サビに強い素材を用いた設計のため、食塩水など金属への腐食性のある溶液を長期間使用しても安定に稼働することができる点も特長だとする。

島津製作所分析計測事業部 副事業部長の冨田眞巳氏は「これからの医薬品市場ではCOVID-19で注目を浴びた核酸医薬市場が大きく伸びてくると考えている。核酸は金属吸着が起こる分子が含まれており、そういった核酸医薬品の製造、開発現場のソリューションとして同製品が活用されると考えている」とシェア拡大への戦略を語った。

なお同装置は、京都大学薬学研究科の石濱泰教授と科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)における共同研究の成果を元に設計・開発された。

希望販売価格は1200万円からで、発売後1年間で国内外合わせて400台の販売を目指すという。

  • 記念撮影

    製品発表の記者会見に登壇した(左から)島津製作所分析計測事業部LCビジネスユニット 副ビジネスユニット長の渡邊京子氏、同ビジネスユニット長の井上隆志氏、京都大学大学院薬学研究科の石濱泰教授、島津製作所分析計測事業部 事業部長の馬瀬嘉昭氏、島津製作所分析計測事業部 副事業部長の冨田眞巳氏 (提供:島津製作所)