島津製作所は、がんの放射線治療装置と組み合わせることで、患者の治療部位の位置合わせが治療中でも短時間で高精度に行え、治療時間の削減を可能とする放射線治療支援システム「SyncTraX SMART version(シンクトラックス・スマートバージョン)」の発売を8月30日より開始した。

がん細胞に高エネルギーX線を照射することで、がん細胞を死滅させる放射線治療では、正確にX線をがん細胞に照射しつつ、正常組織への影響を最小限にすることが求められる。同システムは、4組のX線管とフラットパネルディテクタ(FPD:平面検出器)により、放射線治療装置のガントリ角度に関係なく必ず2方向からのX線撮影を行うことで、高精度に位置合わせを可能としたもの。2方向のX線撮影の後、治療計画用CT画像と照合して、寝台(カウチ)位置の補正量を短時間で自動計算し表示。画像を確認後に補正量を治療装置に送信することで位置補正を行うことができるほか、治療装置のガントリやカウチを元の位置に戻す必要もないという。

また、呼吸などで動きを伴う臓器の放射線治療に向けて、腫瘍へのピンポイント照射を支援する動体追跡機能をオプションで用意しているという。

なお、同システムはバリアン社製治療装置「TrueBeam」にのみ組み合わせが可能だとしている。

  • SyncTraX SMART version

    SyncTraX SMART versionの4組のX線管(床下)とFPD(天井)、放射線治療装置の配置イメージ