宇宙航空研究開発機構(JAXA)とソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)は1月27日、エラーが発生しやすい低品質な通信環境を模擬した地上実験において、将来の成層圏/低軌道での光通信事業に不可欠というエラー環境下での完全なデータファイル転送技術の実証に成功し、事業化に向けた技術基盤を確立したと発表した。

  • 実証の概要

低軌道衛星同士や成層圏無人機との間で利用する光インターネットサービス事業の創出を目指し、一般的なインターネット通信による通信が不可能な通信環境においてデータファイルの転送を実施。446Mbpsの通信速度でデータ欠損なく完全なデータのファイル転送に成功したという。この結果は、エラーの頻発する自由空間光通信上でも地上のインターネットサービスのような高速通信が可能になることを示唆する。

通信には、ソニーグループがブルーレイなど光デバイスで培ってきたレーザー光読み取り技術をベースにソニーCSLが開発した誤り訂正(FEC)技術と、JAXAが持つ遅延途絶耐性ネットワーク(DTN)技術とを組み合わせた信号処理技術を用いた。

今回の通信実証の成功により、地球低軌道や成層圏における2地点間の光インターネットサービスに必要となる高速大容量かつ低消費電力での通信の実現に向けた主要課題の解決が見込まれるとのこと。

今後、低軌道衛星コンステレーションや成層圏無人機に搭載した小型光端末同士の通信サービスへの事業展開につながることが期待できるとしている。