日本には現在、280万件以上のEC(Electronic Commerce)事業者が存在するという。我々の生活の中でも、ネットショッピングをはじめEC事業が身近になっている。しかし、EC事業者のうち、約95%がほとんど売り上げを出していないことをご存知だろうか。

「ネットビジネスを底上げする」をビジョンに掲げる「これから」の代表取締役、今泉雄介氏は「EC事業者をデジタルテクノロジーで支援できれば、日本のみならず世界中に安価で簡単なサービスを一気に広げることが可能だ」と語る。

  • これから 代表取締役 今泉雄介氏

同社が展開するEC事業者の集客サポートSaaSツール「AdSIST(アドシスト)」は、AIが提案する戦略の中から好きな運用レベルを選ぶだけで、予算に合わせて適切な広告プランを運用可能なシステムだ。マーケッターなど広告運用の専門家が人の手で行っている作業を自動化しているという。

同社がこれまでに10年以上ECコンサル事業に携わってきた経験を基に、システムを設計している。広告の反響をシステムが学習することで、より精度の高い広告の運用へつなげる仕組みである。

  • これからが展開するEC事業者の集客サポートSaaSツール「AdSIST」

世界のB to CのEC事業を見ると、中国、アメリカ、イギリスに次いで日本は4位だ。諸外国は2019年から2020年にかけての成長率がおおむね120%を超える中、日本の成長率は114%程度にとどまる。EC事業が世界的に加速したコロナ禍においても国内では成長率が低く、市場規模も世界と比べると拡大しきれてはいない。

「日本はまだまだEC化の割合が低く、事業のオンライン化に対応できていない。さらに、企業風土が古い点やいまだにクレジットカードに抵抗がある点などがネットショップの平均商流を上げられない要因だろう」(今泉氏)

「日本は島国であり、英語が母国語ではないので海外展開が難しい。中国は日本よりオンライン化が進んでいる上、自国内の商流が活発であり成長が著しい」と同氏は続けた。

  • 世界のB to CのEC市場規模 資料:これから

日本国内に目を向けると、飲食店やハンドメイド商品を扱う事業者、副業人材がEC事業に乗り出す例が増えているという。近年はネットショップの開設を支援するサービスも増加していることを背景に、特に個人事業主や従業員が数人程度の企業による出店数が伸びているようだ。

個人事業主や小規模な企業がECに着手する場合は、必ずしもECに明るい人材が業務に携わるわけではない。知見のない担当者が手探りで出店する場面も多々あるだろう。そのため冒頭で述べたように多くの企業がEC事業で成果を上げられていない。

オフラインでリアル店舗を出店する際の集客では、店頭での呼び込みや近隣へのポスティングなどの施策が実施される。しかし、ECでは「オンライン上に情報を出せばなんとかなる」と考えている人が多いのだそうだ。

つまり、多くのEC事業者が成果を上げられない原因は「集客できない」「知見がない」「人材や資金のリソースがない」に集約される。

  • EC事業が成果を上げられない3つの課題

その一方で、うまくEC事業で成果を出せている企業の特徴は「Webでの集客を本気でやっている」点だと今泉氏は話した。そうした企業はオンライン上での展開を楽観視せず、特に若い世代のスタッフを中心にWebデザイナーやSNSマーケティングの担当者を配置し、本気で取り組んでいるとのことである。

自社ECサイトの課題を調査すると、4割以上のEC担当者が「新規顧客獲得」を課題に挙げるという。知見のないスタッフが担当する場面が多く、ECサイトのブランディングが困難とされる中で、同社は「AdSIST」をはじめとするECサイト集客の課題解決ソリューションを活用して日本全体のEC事業の底上げを狙う。