IDC Japanは1月11日、国内エンタープライズインフラ市場に関して、システムタイプ別の予測を発表した。これによると、2021年の同市場は前年比7.2%減の6,596億8,300万円になるという。また、2025年の同市場は7,063億6,100万円を見込まれており、2020年~2025年の5年間における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)はマイナス0.1%と予測されている。

  • 国内エンタープライズインフラ市場 システムタイプ別 支出額予測、2020年~2025年 資料:IDC Japan

同社は、2021年はマイナス成長となり、2022年にプラス成長に復帰後、予測期間を通じてプラス成長を維持するとみている。また、システムタイプ別にCAGRをみると、事業活動(商取引)や公的機関における公的サービス提供活動の記録や処理を行うシステムであるSoR(Systems of Record)がマイナス1.0%、顧客エンゲージメントに関わるシステムであるSoE(Systems of Engagement)と、収集したさまざまなデータの分析を通してインサイトを得るためのシステムであるSoI(Systems of Insight)がともにプラス3.4%、その他のシステムがマイナス0.4%となっている。

2021年の国内エンタープライズインフラ市場は、2020年における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う需要低迷期から回復期へとシフトしている。しかし、2020年における富岳などの公的機関向け大型スーパーコンピュータの出荷を補う規模の案件はなく、反動減が現れてマイナス成長になったと同社はみている。

また、半導体などの需給ひっ迫は供給サイドに影響を与えており、回復期に入った需要サイドからの需要増に充分応えられず、実際の出荷が2022年に延伸されるといった下押し要因もあるとしている。

2021年の国内SoR向けエンタープライズインフラ市場の配備モデル別では、パブリッククラウドが前年比13.1%増の360億8,100万円、プライベートクラウドが前年比1.5%減の189億6,300万円、トラディショナルが前年比11.5%減の1,943億900万円になると予測。また、2020年~2025年の5年間におけるCAGRはそれぞれ、プラス6.2%、プラス4.2%、マイナス2.7%になるという。

一方で、2021年の国内SoE/SoI向けエンタープライズインフラ市場を配備モデル別でみると、パブリッククラウドが前年比18.0%増の212億5,500万円、プライベートクラウドが前年比10.5%増の130億5,800万円、トラディショナルが前年比8.4%減の493億4,000万円と予測されている。また、2020年~2025年の5年間におけるCAGRはそれぞれ、プラス7.8%、プラス8.2%、プラス0.5%になるとのこと。

IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ グループマネージャーの福冨里志氏は、「縮小均衡するSoRでの収益維持やエッジ・コンピューティングなどの成長分野を攻略する上での適切な戦略と実効性のある戦略遂行上の仕組み作りが求められる」と、分析している。