アドビは12月6日、同社が9月3日~9月10日にオンラインで行った「アフターコロナに向けたデジタル戦略に関する調査」の結果を発表した。
同調査はコロナ禍におけるB2B企業のデジタル戦略や顧客体験に関する取り組みの変化を明らかにするため、デジタルマーケティングツールの導入状況や活用意向について調査したもの。マーケティング/CRM部門の担当者540名、経営者/業務改革担当者/営業管理職500名の計1040名のアンケート結果をまとめた。
まず、新型コロナウイルスの業績の影響については、48.4%が横ばいで、15.6%が拡大、36.1%が縮小したという。ただ、デジタルマーケティングツール導入企業では、拡大が22.6%、縮小が27.1%で、同社では、デジタルマーケティングソリューションを利用している企業は、「顧客との関係性構築」を重要視し、「顧客のニーズ/アンメットニーズ」に応じ、適切なタイミングに適切な情報発信をしていたことが業績悪化を食い止める要因になったと推測されるとしている。
コロナ禍で直面したビジネス課題について聞いたところ、「新規商談や営業活動の減少」が最も高く(40.4%)、次いで「既存顧客の深耕営業の減少」(24.5%)が挙げられ、業績縮小の要因として、対面での顧客接点が営業活動機会が失われたことがあり、企業の経営状況に影響を及ぼした可能性があるという。
自社のマーケティング活動手段として、引き続き利用、あるいは導入を検討するものを聞いたところ、WEBサイト/LP(ランディングページ)の改善、オンライン商談の導入、オンラインセミナー、SNSの活用などが上位となった。
アフターコロナのマーケティング課題について聞いてみると、マーケティング担当者からは「顧客との関係性構築」(44.1%)や「リードの獲得」(39.3%)という具体的な項目が挙げられた一方で、経営層の3割以上から「特にない/わからない」(31.8%)との回答が多く寄せられ、デジタルシフトによりオンラインを中心とした顧客との関係性構築が不可欠になってきている中で、経営層と従業員の間で認識の乖離が目立つ結果となったという。
さらに、デジタルマーケティングの活用を推進している企業の経営層は、アフターコロナにおけるテクノロジーのさらなるビジネス活用に意欲的であり、今後の注力分野として「デジタルツールを活用した業務プロセスの改善」(42.6%)、「デジタルツールを活用した新たなビジネスモデルの構築」(41.6%)を挙げるなど、未導入企業との差(それぞれ17.5%、14.0%)が大きく表れる結果となったという。
今後、企業が継続して投資を進めるマーケティング活動としては、オンラインセミナー(76.0%)やオンライン商談(74.3%)を筆頭にデジタルでの顧客体験が挙げられており、一方で、イベントや展示会といった対面での施策については消極的である傾向が明らかとなった。同社では、アフターコロナにおいても、顧客との接点が完全に対面に戻ることはなく、引き続きデジタルシフトの潮流が拡大していくと予測されるとしている。
今回の調査を通じて、アドビ DX GTM・ソリューションコンサルティング本部 マネージャー 山下宗稔氏は「今回の調査を通じて、デジタル化を進めている企業では、業績縮小の抑制や今後のビジネス変革など、その恩恵を享受していることが明らかとなりました。デジタルシフトが加速化する中、経営層におけるデジタルマーケティングへの理解は限定的で、このような企業ではアフターコロナの事業拡大に後れをとる可能性があります」と述べている。
また同氏は、デジタルマーケティングツールを導入する際の障壁として、経営層の理解を挙げ、「どれくらい売上が上がるのかをROIとして示す必要性がある」とした。
同社は先月、Adobe Marketo Engageのおいて、分析ソリューション「Bizible」の国内提供開始を発表しており、同機能で、広告の成果を測るアトリビューション分析を行い、ROIを算出する支援を行うという。