クラリベイト・アナリティクス・ジャパンは11月16日、2021年度の高被引用論文著者(Highly Cited Researchers)リストを発表した。

このリストは、自然科学と社会科学の21分野、およびクロスフィールドにおいて過去10年間に被引用数の多い論文を複数発表し、それぞれの分野で大きな影響力を与えた世界中の研究者6602人を対象としたもの。高被引用論文著者は、同社の「Web of Science Core Collection」において、特定の分野・出版年における論文のうち引用された回数が上位1%に入る論文(高被引用論文)の著者から選ばれている。

それによると対象6602人のうち2622人の所属機関が米国で、トップとなっている。ただし、そのシェアは2018年の43.3%から39.7%に減少しているという。2位は中国で935人。そのシェアは2018年は7.9%から14.2%へと約2倍に伸ばしている。3位はイギリスの492人でシェアは7.5%だが、引用の観点では、各分野のトップレベルの研究者が集中しているという。

4位はオーストラリアの332人、5位はドイツの331人、6位はオランダの207人となっており、オーストラリアの人口は約2500万人、オランダが約1700万人であり、ドイツの約8300万人に比べると人口比では突出しているという。また、7位はカナダで196人、8位はフランスで146人、9位はスペインで109人、10位はスイスで102人となっている。

このほか、香港が2020年の60人から79人に増加しているが、背景には香港大学の高被引用論文著者が2020年の14人から33人へと増加したことが挙げられるという。さらに、2021年版ではバングラデシュ、クウェート、モーリシャス、モロッコ、グルジア共和国の研究者が初めて選出されたという。

  • 高被引用論文著者

    高被引用論文著者の選出国・地域トップ10 (出所:クラリベイト)

所属機関別の高被引用論文著者の順位は、1位ハーバード大学(米国、214人)、2位は中国科学院(中国、194人)、3位はスタンフォード大学(米国、122人)、4位はアメリカ国立衛生研究所(米国、93人)、5位はマックス・プランク研究所(ドイツ、70人)、6位はマサチューセッツ工科大学(米国、64人)、7位はカリフォルニア大学バークレー校(米国、62人)、8位は清華大学(中国、58人)、9位はカリフォルニア大学サンディエゴ校(米国、56人)、10位はオックスフォード大学(米国、51人)となっている。

  • 高被引用論文著者

    高被引用論文著者の所属機関トップ10 (出所:クラリベイト)

なお、クラリベイトによると、今回の調査から中国が引用数が多くインパクトのある研究を継続的に増加させていることを見出したが、アメリカは依然として世界の科学大国でありつづけており、高被引用論文著者の所属機関でみると顕著であるとしている。