NECは10月29日、2021年度第2四半期の決算を発表した。第2四半期累計(4-9月)の売上収益は前年度比5.2%増の1兆3828億円となった。国内・海外ともに増収となり、国内ではIT事業と5G(第5世代移動通信システム)事業が好調。海外はスイス大手金融ソフトウエア企業Avaloq社の買収もありDG/DF(デジタルガバメント/デジタルファイナンス)領域が拡大した。

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調整後営業利益は421億円の黒字(前年度比+131億円)となり、同項目の改善により調整後当期利益は261億円の増益(前年度比+95億円)となった。

DXや5Gの需要は旺盛なものの、半導体などの部材供給リスクなどマクロ経済の不透明感から2021年度の年間業績予想を据え置き、売上収益は3兆円、調整後営業利益は1550億円の見通しとした。

  • NEC、第2四半期のセグメント別売上・利益実績(3カ年推移)

新型コロナウイルスの感染拡大による市況悪化からの回復や5Gなどの実業改善が増益の要因となり、全セグメント合計で366億円の増加となった。

一方で、社会基盤セグメントの不採算案件、半導体をはじめとする部材不足の影響、エネルギー事業の株式売却が、調整後営業利益の悪化要因となり、合計で75億円のマイナスとなった。部材不足の影響の主要因は、部材の供給遅れによる出荷遅延であり、サーバーやストレージといったITサービスの汎用品に影響が出ている。

販売の遅れによって上期に売上計上できなかった分は、下期に順次出荷されるのにともなって売上・利益計上できると見込む。

部材供給リスクへの対応については、具体的な対応策が挙げられた。NEC 執行役員常務 兼 CFOの藤川修氏は、「部材不足は半導体が主だったが、新型コロナによる東南アジアの工場閉鎖の影響を受け、一般的な部品にも波及している。特別な部品以外については、代替部品へのシフトを早期に進める。部品レベルで調達が難しい製品については、例えばストレージ系は出荷可能なものがあるので代替可能な製品の提案、またDBサーバーについてはクラウドシフト提案を案件ごとに見極めて対応していく予定だ」と説明した。

  • NEC 執行役員常務 兼 CFO 藤川修氏

全社の上期受注動向は3%の減少となったが、四半期ごとに変動が大きい海洋と2020年度から非連結となったディスプレイを除くと2%の増加となった。上期全体ではエンタープライズとネットワークサービスの受注動向がプラスだった。エンタープライズは4%の増加で金融・製造業向けなど、企業向けのITサービス事業が堅調に推移した。ネットワークサービスは5%の増加で、5G需要の増加が大きく寄与した。

セグメント別の業績について、「社会公共」は公共向けや地域産業向けが減少した影響で3%の減収となり、「社会基盤」は放送・メディア向けが減少したものの連結子会社の日本航空電子工業の増加により増収となった。

「エンタープライズ」は製造業向け、流通・サービス業向け、金融業向けの全領域で堅調に推移し増収となった。「ネットワークサービス」は5G事業が大幅に増収したが、連結子会社のNECネッツエスアイで2020年に計上したGIGAスクール案件の反動減により前年度並みの水準となった。

「グローバル」はAvaloq社の連結寄与もあり、DG/DF(デジタルガバメント/デジタルファイナンス)領域を中心に、サービスプロバイダ・ソリューションも増加し増収となった。調整後営業損益は、ポートフォリオ改革や売上増、費用効率化が寄与し、前年度比で158億円の改善となった。