資生堂は10月20日、定量性のある「たるみ」評価法の開発に成功したと発表した。
一般的に、重力により顔の皮膚組織が変形することによって発生するたるみの原因は、肌のはり、脂肪の蓄積、表情筋の衰え、表皮や真皮の老化など、内外の複合的な要因が複雑に関与しているという。
これまで、見た目年齢に大きく影響するたるみを評価する方法としては、画像を用いた視感判定が一般的だったが、判定者の主観に影響され、再現性のある評価を行うことが難しいという課題があった。
そこで同社は、3次元カメラを用いて全顔の形状を撮影し、姿勢を変えたときに発生する「重力による顔の体積変化」をフーリエ変換の概念を応用した、線形代数における座標変換を用いることで、客観的にたるみを評価できる「たるみ指数」を開発。
座位とあおむけの顔形状から算出した体積差分を変換した「たるみ指数」は、実年齢の相関以上に、見た目の年齢を表す視感評価値と、より相関性が高いことが分かったという。
また、「たるみ指数」1cc分の変化は見た目年齢で6.7歳分に相当することも確認。「たるみ指数」と視感評価値の関係から、見た目年齢の変化を正確に推定することが可能になったとしている。さらに、「たるみ指数」は、たるみと認識される顔形状の要素を的確に表すことから、この評価法を用いて客観的かつ定量的にたるみを評価できるという。「たるみ指数」を利用したたるみ評価法の妥当性の検証には、たるみに効果のある「赤松抽出液」「十薬抽出液」を配合した試作品に、今回新たに考案した独自の使用ステップやセルフマッサージを加えた美容法を組み合わせ、2週間の連用テストを実施。
その結果、連用前後で有意に「たるみ指数」が減少したことから、わずか2週間の期間におけるたるみの改善を評価できることが確認できたという。
また、今回検出された有意な「たるみ指数」の約0.29cc分の減少は、およそ2歳分の「たるみ」が改善したことを意味するとしており、各被験者個人の「たるみ指数」から、参加した被験者のうち55%の人で、たるみが改善していることも確認したとのことだ。
今回開発した評価法は、言語や皮膚色に影響されることがないことから、さまざまな人のたるみ改善の評価を数値化して行うことができ、同社は今後も今回開発した評価法を用いてアンチエイジングソリューションの革新を進めていくとしている。