矢野経済研究所は10月14日、国内の教育産業市場(主要15分野)の調査結果を発表し、サービス分野別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。同調査は、学習塾、予備校、通信教育事業者などを対象に2021年5月~8月で実施されたもの。

これによると2020年度の教育産業全体の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比2.7%減の2兆6997億1000万円となった。学生や未就学児向けの教育関連サービスは底堅い需要に支えられ、これまで市場は緩やかな拡大を継続していたが、2020年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響により全体市場はマイナス成長となった。

  • 教育産業全体市場規模推移(主要15分野計) 出典:矢野経済研究所

また主要15分野のうち、2020年度において前年度より市場規模が拡大した分野は「幼児向け通信教育市場」、「学生向け通信教育市場」、「社会人向け通信教育市場」、「幼児向け英会話教材市場」、「eラーニング市場」、「学習参考書・問題集市場」の6分野だった。

2021年度は2020年春先ほどの大きな混乱は見られず、教育関連市場の多くは回復基調となっており、事業者売上高ベースで前年度比5.0%増の2兆8333億8000万円になると同社は予測する。

非対面型・非集合型の教育サービス市場(通信教育市場、eラーニング市場、学習参考書・問題集市場)は、コロナ禍での在宅学習下において需要が拡大し、伸長率の拡大またはプラス推移に転じるなど、コロナ禍においてプラスの影響を受けている。

そのような状況の中、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズが「家庭教師のトライ」を手がけるトライグループを約1100億円で買収すると、日本経済新聞電子版が10月11日に報じた。AI(人工知能)関連の投資を増やし、オンライン対応を一段と加速させるとのことだ。