大日本印刷(DNP)とサイバーエージェントは10月13日、エレベータ業界におけるデジタル広告事業の創出について業務提携を締結すると発表した。
提携の第一弾として、DNPが提供する、デジタルサイネージに広告や各種コンテンツを表示するサイネージ配信管理システム「SmartSignage(スマートサイネージ)」と、サイバーエージェントの広告配信システムの連携を実施する。
この取り組みでは、DNPおよび東芝エレベータの両社が展開するエレベータ内サイネージにおいて、広告主がターゲットとする生活者に対して最適な広告を表示するためのデジタルサイネージ広告を、2021年10月から提供開始する予定だ。
DNPの「SmartSignage」と、サイバーエージェントのエレベータ内サイネージ向け広告配信システムを接続することで、単なる広告放映回数ではなく、広告主がターゲットとする生活者に対しての表示回数(インプレッション)を重視した広告配信が可能になるという。これによって、広告を届けたいターゲットが利用するエレベータに向けて、広告主は最適な広告を配信可能となる。
また、今回使用するエレベータ内サイネージはセンサー付きカメラを備えており、個人を特定することなく広告を見ている人の属性や状況を把握する、センシング機能を有する。これらのセンシングデータの分析を行い、広告の効果測定や広告主へのフィードバックに生かすことで、両社はさらなる広告効果の向上を目指す。
今回の取り組みにおいて、両社は各エレベータの利用者数や特性をリアルタイムに計測し、時間帯や設置場所ごとに利用者の状況を考慮した広告を配信することにより、ターゲットユーザーへより効果的かつ効率的な情報の訴求を目指す。
さらに、販促関連事業のノウハウを有するDNPと、多くの企業のインターネット広告を担うサイバーエージェントの両社の強みを掛け合わせることで、大規模な広告企画を展開する大手企業だけでなく、エレベータ内サイネージを設置している地域の地元企業に対しても、広告商品を展開していく予定とのことだ。
国内のデジタルサイネージ広告市場は、2020年見込の525億円から、2026年には1400億円にまで成長すると予測されている。特にエレベータ内に設置するデジタルサイネージは、利用者の注視率も高く、エレベータの設置箇所や利用者の属性に応じた広告配信が可能であるため、高い広告効果が期待されている。
一方で、従来のデジタルサイネージ広告は、放映回数や想定利用者数は把握できるものの、インターネット広告のように「どのような生活者」が「どれだけ見たのか」といった、具体的な広告効果の算出や広告の配信が困難である課題を抱えていたという。
こうした課題に対してDNPは、2009年にデジタルサイネージ事業を開始し、「イエナカ(家中)/マチナカ(街中)/ミセナカ(店中)」での情報発信が可能なメディアとコンテンツ制作のノウハウを培ってきた。そしてこの度、インターネット広告配信関連の開発力や運用力、およびデジタルサイネージの効果計測技術に強みを持つサイバーエージェントとの業務提携によって、エレベータ内サイネージにおける広告配信事業のさらなる展開を目指すに至ったとのことだ。