chaintopeは10月8日、商品の生産から販売までの流通過程を追跡可能な「トレーサビリティAPI」の提供を開始すると発表した。同APIでは、ブロックチェーン「Tapyrus(タピルス)」に商品の生産から販売までの追跡情報を記録し、その情報をサプライチェーン参加者と共有することで、商品の取引実態を把握可能となることから、商品の品質担保や取引の合理化が見込めるという。

  • トレーサビリティAPIを利用したアプリケーションの画面イメージ

「Tapyrus」の基盤として採用されているブロックチェーンには、ビットコインで用いられているPoW(Proof of Work)システムと、そこから発展したエンタープライズ向けBFT(Byzantine Fault Tolerance)の両方の利点を生かしたハイブリッド型のプロトコルが用いられている。これにより、オープン性や透明性、およびガバナンス、ファイナリティが同時に担保できるとのことだ。

同APIの使用によって得られる効果の一つに地域特産品のブランド価値の向上がある。同社は2021年8月に実施した福岡県産ブランド農産物の輸出トレーサビリティに関する実証の結果から、産地や生産者などの情報に価値を感じる顧客が多いことを確認している。「安心・安全な商品」や、「生産者の顔が見える商品」の価値は今後も高まると予想されることから、同APIは魅力ある地域特産品のブランド価値を守りながら世界へ発信する基盤として活用できる。

他の利用例としては、多様な認証制度との連携がある。国際フェアトレード認証(公平公正な貿易)だけでなく、MSC認証(持続可能な漁業)や、FSC認証(持続可能な森林管理)、GAP認証(持続可能な農場管理)、HACCP認証(食品衛生管理)、HALAL認証(イスラム法準拠)といった、さまざまな認証制度と連携することによって、SDGs目標達成にむけた基盤として使用可能だという。

また、現代は日本やEU、アメリカをはじめとした先進諸国が2050年までのカーボンニュートラルを宣言しており、原料調達から製造、物流、販売、廃棄に至るまで企業の事業活動に関わる全ての温室効果ガスの排出量を把握する必要性に迫られている。こうした中で、同APIと同社が既に提供を開始している「サステナビリティAPI」を掛け合わせることで、サプライチェーンにおけるカーボンフットプリントが管理可能となる。

「トレーサビリティAPI」の提供を開始する背景について、同社は新型コロナウイルスの感染拡大に起因するサプライチェーンの分断による生産現場の混乱や、ESGに配慮したサプライチェーン構築を進める動きの世界的な加速など、グローバルサプライチェーンにおける課題解決に取り組む企業のサポートを目指したためとしている。