日立造船は9月17日、マイクロ飛沫状態で浮遊している新型コロナウイルス(アルファ株)が、積算照射量1mJ/cm2の深紫外線により、95%以上不活化されることを確認したと発表した。
これまでも紫外線が新型コロナを不活化させることは分かっていたが、実際に浮遊するマイクロ飛沫状態でのウイルスに対する不活化効果を調べた事例はなかったという。
一方、日立造船は、これまで深紫外線LEDを用いた食品用殺菌装置の開発・設計での装置納入実績があったことから、今回、そうした技術を基に長崎大学 感染症共同研究拠点の安田二朗 教授(兼 熱帯医学研究所教授)と共同で、高出力の日亜化学工業製深紫外線LED(波長280nm)を用いたウイルス不活化試験装置を開発し、マイクロ飛沫状態での新型コロナへの効果に対する研究を行ったという。
具体的には、培養した新型コロナをマイクロ飛沫状態にして空気中に浮遊させた後、LED照射エリアを1回通過させる(ワンパス)試験を行った後、ウイルス粒子を回収して生残率を調べたという。その結果、積算照射量約1mJ/cm2で新型コロナの生残率が1/10以下(ウイルス生残率5%以下)となることが分かったという。
なお、今回の結果はあくまで試験装置での評価であり、商品や実際の使用環境での効果を示すものではないことに注意が必要だと研究チームでは説明している一方、紫外線の不活化メカニズムはウイルスRNAの直接変性によるものであるため、今回用いられたアルファ株以外の変異株の不活化にも同等の効果が期待できるともしている。