ニコンとシャープは7月20日、バイオミメティクス(生物模倣)の技術実装に関する共同開発契約を締結したことを発表した。
シャープは、生物の模倣を通じて獲得したバイオミメティクス技術を「ネイチャーテクノロジー」として2008年より研究開発を進め、エアコンの室外機や空気清浄機など、すでに10カテゴリー以上の製品のパーツに用いられ、基本性能の向上や消費電力の削減などに効果を発揮しているという。
ニコンは、成長領域の1つとして掲げる「材料加工事業」において、リブレット加工での事業展開を目指し、さまざまな検討や企業との提携などを進めている。リブレット加工は、バイオミメティクスの考え方を取り入れたもので、レーザーと微細加工技術を組み合わせ、流体と接触する面にサメの肌を模した形状を形成する加工であり、これにより液体や気体の不規則な流れによる摩擦抵抗を低減し、さまざまな産業機器のエネルギー効率を向上させることが可能だという。
同契約は、シャープがさまざまな家電に搭載する「ネイチャーテクノロジー」の知見と、ニコンが持つ超精密な微細加工技術を組み合わせることで、防汚性や撥水性、抵抗低減などの新たな性能を持つ表面形状のパーツを生み出し、多様な製品への機能付与を目指すものだとしている。
両社が実施した共同実験において、エアコン室外機のプロペラファンにリブレット加工を施すことで、一定の省エネルギー効果が得られることを確認しており、両社は今後、バイオミメティクス技術の2023年度中の実用化を目指し、共同開発を続けていくとのことだ。