中外製薬は6月29日、2種類のウイルス中和抗体である「カシリビマブ」および「イムデビマブ」の抗体カクテル療法について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する製造販売承認申請を、厚生労働省に対して行ったことを発表した。

今回の申請は、特例承認の適用を希望するもので、カシリビマブとイムデビマブの抗体カクテル療法は海外第III相臨床試験において、入院をしていない高リスクのCOVID-19患者の入院または死亡のリスクを有意に低下することが確認されたほか、日本人における安全性と忍容性、薬物動態の評価を目的とした国内第I相臨床試験成績も踏まえた申請だとしている。

2種類のモノクローナル抗体カクテルが、ウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合部位に非競合的に結合することで、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して中和活性を示し、ヒトの集団で発生したスパイクタンパク質に変異を持つウイルス株に対しても効果を示すことが期待されるという。

なお、同抗体カクテル療法は、新型コロナに対する治療および予防を目的として、米リジェネロンおよびロシュが開発を進めているもの。中外製薬は2020年12月に、ロシュより日本における開発権および今後の独占的販売権を取得している。