京都大学(京大)は6月7日、改良した耐熱性逆転写酵素と独自のDNAポリメラーゼの組み合わせにより、高感度に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の核酸を検出するキットを開発したことを発表した。
同成果は、京大の保川清 農学研究科教授、大阪母子医療センターの柳原格 部長らの研究グループによるもの。詳細は2021年6月5日付で、国際学術誌「PLOS ONE」に掲載された。
同キットを用いた場合、溶液中5分子の新型コロナウイルスRNAを1時間以内に検出できることを確認したという。また、大阪府立病院機構における研究において、保険収載された既存の新型コロナウイルス核酸増幅キットと比較した場合、新たに開発されたキットの感度は99.44%、特異度は100%であったという。
また、同開発キットは、新たな感染症や、遺伝子の違い(変異)にも柔軟に対応することが出来るとのことで、すでに研究用試薬として新型コロナウイルスの変異の検出にも利用されているというほか、解析で得られた情報は次世代シーケンスによるゲノム情報とあわせて、厚生労働省(厚労省)の「積極的疫学調査及び変異株に関する情報提供等への協力」要請に基づき、大阪府感染症対策企画課を通じて厚労省に提供されるとともに、国際的なSARS-CoV-2のゲノムデータベース(GISAID)にも提供されているという。
なお、同開発キットは検査試薬が枯渇した場合の緊急用として大阪府立病院機構に保存されているという。