千葉大学医学部附属病院(千葉大学病院)は6月3日、同病院が2021年2月1日に設置した「コロナワクチンセンター」において、ファイザー製新型コロナワクチンを接種した病院職員1774名の抗体価を調べたところ、1773名に抗体価の上昇がみられたことを発表した。
今回の成果をまとめた論文は、査読付き学術誌の審査前にプレプリントサーバーのmedRxivに6月2日に登録され、近々公開される予定だという(今後、審査によっては、論文内容が修正される場合があることに注意)。
今回の研究の対象者には、1回目のワクチン接種の前、ならびに2回目のワクチン接種の後にそれぞれ採血と唾液採取を実施(1回目には男性719名、女性1296名、21才~72才が参加。2回目は男性606名、女性1168名、21才~72才が参加)。その結果、ワクチンの接種前段階で抗体が陽性だったのは21名(1.1%)で、2回目のワクチン接種後に抗体が陽性となったのは1774名中1773名(99.9%)であったとする。
また、併せて年齢、性別、飲酒頻度、1回目と2回目の接種間隔などの因子と抗体価との関連についても調査を実施した結果、「免疫抑制薬の内服あり」、「年齢が高い」、「副腎皮質ステロイド薬の内服あり」、「飲酒の頻度が高い」といった因子では抗体価が上がりにくいことが、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の既往歴がある(すでに感染したことがある)」、「女性」、「1回目と2回目の接種間隔が長い(18日~25日)」、「抗アレルギー薬(花粉症薬など)の内服あり」といった因子では抗体価が上がりやすい傾向がみられたという。
特に毎日お酒を飲む人とそうでない人で比べた場合、中和抗体の量としては十分ではあるものの、その総量としては約20%の差が生じたとしている。
なお、研究チームでは現在、ワクチンによる副反応と抗体反応がどのように関連しているのかについての解析を進めているとしているほか、今回の研究に協力してもらった病院職人は、1年後に新型コロナにかかったかどうかの調査を実施する予定だとしている。