東芝は5月13日、ダルマ・キャピタルと共同で、株式市場における高速高頻度取引(High-Frequency Trading:HFT取引)への疑似量子計算機「シュミレーテッド分岐マシン(SBM)」を用いた有効性の検証を実市場において開始することを発表した。

HFT取引は、適正な価格水準から取引価格が乖離する「ミスプライシング」を解消するために割高/割安な金融商品を監視し、売り/買いの取引を実行するものだ。一方のSBMは東芝が開発した大規模な組み合わせ最適化問題を解くイジングマシン。

今回の取り組みでは、ミスプライシングの検出問題を数学的な組み合わせ最適化問題に帰着させ計算することで、高速な広域探索によるミスプライシングの検出を行い、従来のHFT取引で対象とできなかった取引機会を発見することを目指すという。

  • 疑似量子計算機「シュミレーテッド分岐マシン(SBM)」

    疑似量子計算機「シュミレーテッド分岐マシン(SBM)」(出所:東芝)

共同検証に際し、東芝は金融機関向けにSBMをカスタマイズし、国内籍で唯一の高速取引行為者であるダルマ・キャピタルへ提供。

ダルマ・キャピタルは提供されたSBMと独自のHFTテクノロジーを組み合わせ、東京証券取引所内のコロケーションエリアに設置される取引システムを用いて日本株式を対象に実証を行っていくとしている。