Dassault Systemesの日本法人であるダッソー・システムズは4月21日、「2021年事業戦略説明会」を開催し、概況と2021年の注力領域などについて説明をおこなった。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響により、全世界的にクラウドへの移行が加速していることを受け、同社が提供する「3D EXPERIENCE」についてもオンプレミス対応の機能群の9割に上る571の機能群をクラウド対応にするなど、クラウドへのニーズに対応したという。
また、同社は3D EXPERIENCEプラットフォームの機能拡充を目的とした戦略的な買収を継続して行ってきているとし、2020年も7月にデータサイエンス機能の強化を目的に、AI駆動型セマンティック処理ソフトウェアとサービスを専門とする「Proxem」を買収したほか、自動運転認証への対応に向け、ドライビングシミュレータを開発する「AV SIMULATION」の株式を15%取得するなど世の中のニーズに対応するための動きを進めているという。
3つの日本市場の注力ポイント
クラウド移行への対応や機能拡充に加え、ダッソー・システムズ 代表取締役社長 フィリップ・ゴドブ氏は2021年の日本市場における注力点として「製造業、ライフサイエンス&ヘルスケア、インフラ&シティの3つの領域への注力」、「人材育成」、「サステナビリティ」の3点を挙げる。
従来のメインターゲットである製造業に加え、ライフサイエンス&ヘルスケア、シティ&インフラといった領域にも本格的に注力していくとする。これらの領域は、今後バーチャル上のシミュレーションの活用が期待される領域であることがその理由だ。例えばライフサイエンス領域では、同社のソリューションを活用しバーチャルな人間を作成することで、それを使ったさまざまなシミュレーションを行うことができるとする。
また、インフラ&シティ領域への取り組みとしては、すでに動き出している「スマートけいはんなプロジェクト」への実証実験への参加が一例として紹介された。
同プロジェクトは、国土交通省スマートシティモデル事業の一環で、けいはんな学研都市を舞台に、NTT西日本が実施した「ラストワンマイルモビリティ」、関西電力および関西電力送配電が実施した「電柱吊り宅配ボックス」およびオーシャンブルースマートが実施した「GPS搭載シェアサイクルPiPPA(ピッパ)」の乗降場所や設置場所、利用状況などを、ダッソーが提供する「インクルーシブ・アーバン・フューチャー」で作られた仮想都市モデル上に一元的に表示させ、各事業の計画の進捗状況や稼働状況の把握の可視化が行われている。
人材育成については、各大学と連携しハッカソンプロジェクトを行うなどの活動を行っており、プロジェクトに参加した学生の中には、そのプロジェクトを契機に同社に入社することを決めた人もいるという。
また、サステナビリティについては、事業の中心にこの考えを置く形で、パートナー企業との共同研究などを通じた取り組みを推進していくとしている。
なお、同社はこれらの取り組みを通じて、「3D EXPERIENCEで製品、自然、生活が調和する持続可能なイノベーションを現実の世界にもたらす」というDassaultの事業目的に向け、より良いソリューションの提供を目指すとしている。