文部科学省傘下の科学技術振興機構(JST)は2021年2月17日にJST理事長記者説明会を開催し、2020年9月より募集を行っていた「CRESTコロナ対策臨時特別プロジェクト」に採択した担当研究者10人の名前と所属先の研究機関名、そのテーマ名を公表した。
CRESTコロナ対策臨時特別プロジェクトの正式名称は「異分野融合による新型コロナウイルスをはじめとした感染症との共生に資する技術基盤の創生」であり、JST内では通称「プランB」と呼んでいる、異分野融合による、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の基盤を研究開発するプロジェクトだ。
同プロジェクトは、2021年2月1日から3年2カ月以内の2024年3月まで実施され、研究費(直接経費)の上限は1.5億円となる見込みである。
日本医療研究開発機構(AMED)の岩本愛吉 研究統括推進室長が研究総括を務め、領域アドバイザー12人と外部識者3人が応募案件を選考し、10件の研究開発テーマを採択した。
岩本研究統括推進室長は「物理や数学、工学などの異分野の研究者が集まって、COVID-19への対応策を研究開発する異分野融合の研究開発体制を重視し、感染症危機に強い社会構築を目指し、社会システムを研究開発する特別プロジェクトを進める」と述べ、プロジェクトの方向性を示した。
選出された10件には、「超高感度ウイルス計測に基づく感染症対策データ基盤」を研究課題とする、国立遺伝学研究所の有田正規センター長・教授の研究チームや、「先端ゲノム解析と人工知能によるコロナ制圧研究」を研究課題とする東京大学医科学研究所の井元清哉センター長・教授の研究チーム、「新素材による環境中のウイルス検出・除去技術の創出」を研究課題とする東京大学大学院工学研究科の片山浩之教授の研究チームなどが含まれている。
注目すべきは、新型コロナウイルスの変異株に関する研究課題として「ウイルス変異を考慮した大量自動検査システムの研究」を国士舘大学理工学部の神野誠教授が提案し、採択された点である。
研究提案として多かった課題分野は「バーチャル化技術」「環境センシング」「生体センシング」「AI重症化予測」だったという(研究分野の分類はJST事務局が判定したもの)。