Sansanは1月14日、オンラインで2021年5月期第2四半期の決算説明会を開いた。説明はSansan 取締役 CFOの橋本宗之氏が行った。
第2四半期累計実績における営業利益が前年同期比525.4%増
同社では法人向けクラウド名刺管理サービスの「Sansan」を主軸にしたSansan事業と、個人向け名刺アプリ「Eight」を提供するEight事業を展開している。2021年5月期第2四半期累計実績(6か月)の連結売上高は前年同期比21.3%増の76億3600万円、純利益は同24.3%増の66億9000万円、営業利益は同525.4%増の6億8600万円となり、営業利益の増加率だけ見れば驚異的な数値だ。
橋本氏は「Sansan事業は増収・増益、Eight事業は増収・赤字縮小し、各セグメントの売上高においても前四半期比で成長が再加速した」と手応えを口にする。こうした同社の好調な業績を支えている要因として、既存事業の成長に加え、コロナ禍においても積極的に新しい取り組みを進めたことが挙げられる。
Sansan事業では、オンライン名刺機能の利用拡大や契約件数と契約あたり売上高の拡大、ビジネスプラットフォーム価値の向上に取り組んだ。同氏は「オンライン名刺機能の利用拡大では、Eightとの機能連携に加えて、Microsoft Teamsとの連携も昨年10月から開始し、Teamsユーザーはカレンダー機能からSansanのオンライン名刺を送信できるようになった」と話す。
また、Eight事業ではBtoBサービスのマネタイズ強化と、Sansan事業と同様にオンライン名刺機能の利用拡大に注力。BtoBサービスでは、既存サービスである「Eight企業向けプレミアム」、広告サービス「Eight Ads」、サービスの買い手と売り手をマッチングするビジネスイベント「Meets」、採用関連情報サービス「Eight Career Design」の拡大が売り上げに寄与した格好だ。
コロナ禍に対応した新しい取り組み
そして、新しい取り組みではクラウド請求書受領サービス「Bill One」と、イベントテックサービスの拡大に注力している。Bill Oneは昨年5月に提供を開始し、多数の拠点や部門に分散して届いていた紙やPDFの請求書を99.9%の精度でデータ化し、オンラインで受領できるサービス。
契約企業が請求書の受け取り先を同サービス(専用メールアドレス・スキャン代行センター)にするため、請求書の発行企業に対して送付先の変更を依頼。請求書の受け取りを代行し、請求書のフォーマットを問わずデータ化した後、契約企業は請求書情報がオンラインで確認が可能になる。
Bill Oneについて、橋本氏は「コロナ禍においてリモートワークへの移行は喫緊の経営課題となっている一方、請求書関連業務については紙媒体を受領・処理するために出社が強いられている現実もある。同サービスは請求書の受け取りから支払い承認までをオンラインで実施することができるほか、どのようなフォーマットの請求書でも高い精度でデータ化して一元管理が可能だ」と説明する。
他社サービスではOBCの「勘定奉行クラウド」(提供済)、弥生の「弥生会計ラインアップ」(今年3月)、サイボウズの「kintone」(今春)と連携するなど、サービス価値の向上を図っており、5月のサービス提供開始から11月時点で10.6倍の契約件数となっている。今後、国内の全企業を対象に2022年5月期末までに契約件数1000件以上を目指すという。
一方、イベントテックサービスでは昨年9月にエントリーフォーム「Smart Entry by Eight オンライン名刺」、同10月に法人向けセミナー管理システム「Sansan Seminar Manager」を、それぞれ発表している。
橋本氏は「大規模なものから小規模なビジネスイベントの運営において、オフラインはもちろんのこと、コロナ禍において急速に普及したオンラインイベントでも課題が生じている。当社グループは、セミナー・イベントの管理から開催前・開催中・開催後までのビジネスイベントの課題を解決する各種ソリューションを提供しており、出資するEventHubの『EventHubオンライン』は昨年4月の提供開始後、半年で利用企業数が3.5倍、売上高は20倍に成長し、イベントテックサービスは拡大傾向にある」との認識を示す。
Smart Entry by Eight オンライン名刺はEightで提供している名刺情報を活用し、イベントの受付時や資料請求時に入力するビジネス情報をQRコードを撮影するだけで手軽に登録を可能としている。
Sansan Seminar Managerはセミナー実施における募集ページ作成、来場受付、ウェビナー(オフラインイベントも可)、リード管理をはじめとした一連のオペレーションを提供し、セミナー運営を支援するというものだ。同氏は「今後もイベントビジネスを全方位でサポートできる体制構築に取り組んでいく」と述べている。
これらの決算を踏まえた連結通期業績の見通しは、売上高が前年同期比18.0%~22.0%増の157億6700万円~163億200万円、営業利益は同0.0%~33.4%増の7億5700万円~10億1000万円と当初計画から変更はないものの、成長再加速に向けた投資を強化し、2022年5月期に売上成長率30%を目指す考えだ。